FP黒田尚子のがんとライフプラン 46

介護休業の取得が柔軟に! 2017年1月以降の「改正育児・介護休業法」のポイント

黒田尚子●ファイナンシャル・プランナー
発行:2018年1月
更新:2018年1月

  

くろだ なおこ 98年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。乳がん体験者コーディネーター。黒田尚子FPオフィス公式HP www.naoko-kuroda.com/

今回は、2017年1月以降、施行された「改正育児・介護休業法」の改正点をご紹介したいと思います。この法律は、育児や家族の介護を行う労働者のために設けられたもの。育児休業や介護休業、子どもの看護休暇など、育児や家族介護を含めた家庭生活と仕事の両立を支援することを目的としています。働いているご本人ががん患者であれば、会社の有給休業制度や傷病手当金、要介護状態になって公的介護保険の介護サービスを利用するなど、様々な制度やサービスが考えられます。

その一方で、要介護状態になったがん罹患者のご家族も、入院・治療中の病院の付き添いや日常生活の介護や世話などで会社を休むケースも多々あるはずです。

がん患者である家族が要介護状態になった場合に備えて、2017年1月から変更になった介護休業・介護休暇について、押さえておきたい改正内容をまとめてみました。

「改正育児・介護休業法」の4つの改正点

おもな改正点は、次の4つです。一定の要件を満たす全ての労働者が対象で、正社員に限らず、契約社員やパートなども含まれます。

①介護休業の分割取得が可能に

「介護休業」とは、自分や配偶者の父母などの家族が2週間以上、常に介護が必要になった場合、対象家族1人につき計93日まで取得できるというものです。

休業中は雇用保険から「介護休業給付金」を受給できます。ただし、休業前の2年間に通算12カ月以上、雇用保険に加入していなければなりません。

これまで介護休業は1回までしか取得できませんでした。それが3回に分割して取れるようになったのです。

また、対象となる家族は、配偶者(事実婚含む)、父母および子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母ですが、祖父母、兄弟姉妹、孫については、同居や扶養要件が不要となりました。

なお、介護休業中の大切な収入源となる介護休業給付金についても、2016年8月から、上限が賃金月額×40%から67%(約31万円)に引き上げられている点も知っておきたいポイントの1つです。

②介護休暇の取得単位の柔軟化

「介護休暇」とは、要介護状態にある対象家族の介護や通院の付き添い、デイサービスの送り迎えなど、ちょっとした日常的な介護などをするための休暇です。前述の介護休業や労働基準法が定める年次有給休暇(年20日まで)とは別に、年5日まで(対象家族が2人以上の場合は10日まで)取得できます。

改正前は1日単位の取得しかできませんでしたが、改正後は半日単位となり、介護者のニーズに応じて柔軟に取得できるようになっています。

③介護のための所定労働時間の短縮措置等

介護のための所定労働時間の短縮措置等とは、所定労働時間の短縮やフレックスタイム制度、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度などのことです。

事業主は、家族等を介護する労働者に対して、対象家族1人につき、いずれかの措置を選択して講じなければならないとされています(選択的措置義務)。

これまでは、これらの措置は介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能とされていました。したがって、例えば、介護休業を60日間取得した場合、時短勤務などができるのは33日間のみということ。それが改正によって、介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能となり、より柔軟に対応できるようになっています。

④介護のための所定外労働の制限(残業の免除)

これは新しく新設されたもので、対象家族1人につき介護終了まで、所定外労働の免除が認められるというものです。

「介護休業」=「介護〝準備〟休業」と心得よう!

勘違いしている方も多いのですが、介護休業は、実際に介護を行うためというよりは、介護を円滑に行う環境や仕組みを整えるための準備期間と捉えておくべきです。

というのも、生命保険文化センターの調査によると、過去3年間に介護を行なった人にどのくらいの期間介護を行ったかを聞いたところ、平均59.1カ月(4年11カ月)という結果が出ています。

なかには4年以上介護した割合も4割を超えています。(出所:生命保険文化センター「平成27年度生命保険に関する実態調査」)

となると、介護休業93日というのは、介護に従事する期間としては短過ぎます。

ですから例えば、地域包括支援センターに相談に行ったり、ケアマネジャーとケアプランを作ったり、介護認定の申請をしたり、介護施設を見学したり、在宅介護を行うために自宅をバリアフリーにする場合の工事への立会いなど、介護を行うための準備期間として活用するのが現実的です。

もちろん、末期がん患者さんの容態の急変や看取りのためにご家族の休業として活用されている方も少なくありません。

そのような方からの取得のタイミングについてのご相談も多く寄せられますので、今回の改正によって、分割して取得できる価値は大きいと思います。

法定以上の介護休業支援をしている企業が2割以上

もちろん、介護期間がどれだけになるか見通しがつきませんので、介護休業だけでは足りなくなることも考え、それに備えて就業規則などで、勤務先の休暇制度や休暇中の給与の有無などを確認しておきましょう。

最近では、介護離職を防ぐため、法律以上の独自の制度を整備する会社も増えてきました(図表参照)。

厚生労働省の委託調査によると、法定を上回る介護休業支援をしている企業が22%にのぼっています。(出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「仕事と介護の両立に関する企業アンケート調査」[平成24年度厚生労働省委託調査])

具体的には、介護休業の2回以上の分割取得可や取得期間の延長、介護休業中の給与の一部もしくは全額支給、賞与や手当の一部支給、見舞い金の支給などです。

介護休業制度の認知度の低いことなどから、企業内に「両立支援相談窓口」を設置し、諸制度の利用が円滑に行われるよう、専用電話の相談窓口を設けている企業もあります。

もちろん、残念ながら自営業・自由業の方々にはこのような制度はありません。民間保険など自助努力として準備しておく必要があることを理解しておきましょう。

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