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FP黒田尚子のがんとライフプラン 48
請求漏れに要注意! 民間保険の給付金・保険金の請求とタイミング
民間保険の給付金や保険金は、請求しなければもらえません。ところが、入院や手術でバタバタしていたり、通院の分の給付金を請求し忘れていたり。なかには、保険に加入していたことをすっかり忘れているなんてこともあります。
今回は、請求漏れが起こりやすいケースを見ながら、民間保険の給付金や保険金の請求時の注意点とタイミングについて見てみたいと思います。
医療保険やがん保険などに加入している方が、がんに罹患して、入院や手術を受けることがあると思います。その際に請求漏れが生じやすいのは次のようなケースです。
①入院の途中で給付金を請求した場合
入院中に給付金を請求すると、その後の通院給付金等を請求し忘れる可能性があります。
また、2回以上の入院や、がんが再発・転移して再度入院した場合でも、同じ病気あるいはそれぞれの入院に医学上関係があると認められれば、複数回の入院を1回の入院とみなして計算します。
この場合、入院給付金が受け取れるのは、前後の入院を合計して1入院支払い限度日数までです(図表参照)。
ただし、前回の退院日の翌日から180日を経過して再度入院した場合は、別入院として扱われるのが一般的です(所定の日数を経過せずに、別の疾病等で入院した場合も1入院とみなされる商品もある)。
②入院・手術を複数の病院で受けた場合
複数の病院で入院や手術をした場合、原則として、それぞれの病院の診断書が必要になります。転院後に請求を出しても、転院前の分の給付金も自動的に支払われるわけではありません。
なお、保険会社によって、それぞれの病院で発行された領収書等があれば、診断書が省略できる場合もあります。
③がん診断給付金や入院給付金を請求した後に通院した場合
退院後に入院給付金等を請求して、その後の通院分の給付金を請求し忘れるケースがあります。
がんのように治療期間が長期にわたる場合、数カ月ごとにまとめて請求する場合も多いと思います。その際に必要な診断書の費用も少なからず負担になりますが、保険会社によって診断書を省略して、通院状況報告書と通院日の記載がある領収書等で手続きできる場合もありますので、確認してみましょう。
④入院中に死亡した場合
入院中に亡くなってしまうと、死亡保険金の請求に気を取られて、入院あるいは手術給付金の請求をし忘れるケースがあります。
このほか、複数の保険契約がある場合や、たくさん特約が付加している保険に加入している場合なども請求漏れが生じやすくなります。
保険請求の時効は3年!
毎月、保険料を払っていても、保険金を請求することなど、滅多にありません。そのため、忘れがちなのが、生命保険の請求には、期限があるということ。基本的には支払事由の発生から3年が過ぎてしまうと、保険金請求権は消滅します。
つまり、保険金をもらう権利があっても、何もしなければ、3年(正確には、支払事由が発生した日の翌日から起算して3年を経過したとき)でもらえなくなってしまうのです。
時効がある理由は、保険会社で支払事由に該当するかどうか調査が難しくなるため(病院のカルテの保存義務は5年)。
また、保険料を口座引き落としなどにしていて、被保険者の死亡後も保険料を支払っていた場合、保険料の返還を求めることができますが、この時効も3年です。
ただし、時効後の保険金請求についても、例えば、がん告知されていなかったため、がん保険の給付金を請求できなかったなど、「特別な事情」がある場合、3年が経過していても、入院証明書などの所定の書類を提出すれば、保険金を受け取れる可能性があります。
保険会社のHPなどに、時効後の保険金請求について案内がある場合もありますし、あきらめずに、まずは、保険会社に問い合わせてみましょう。
今月のワンポイント とくに高齢者の方は、保険に加入していること自体を忘れてしまったり、保険証券を損失してしまったりすることもあります。
保険請求時のことも考えて、日頃から保険の内容を把握しておくことや契約をシンプルなものにすること、加入している保険の内容を家族等に知らせておくことなども大切です。