黒田尚子のがん節約術

会社員なら、病気やケガで仕事を休んだときの所得補償として「傷病手当金」を申請しましょう

イラスト/コヤマ ノリエ
発行:2012年5月
更新:2013年6月

  

がん患者やそのご家族にとって、がんとお金に関する不安や問題を少しでも解消し、治療に専念できる手助けになればと考えています。

黒田尚子(くろだ なおこ)

1992年大学卒業後、大手シンクタンク勤務中にFPの資格を取得。1998年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。

Q:放射線治療で会社を休まざるをえません。その期間は給料をもらえないの?

胸のしこりが気になり、病院へ行ったところ乳がんと診断され、乳房温存手術を受けることになりました。主治医の話では、手術後ある一定期間、毎日病院に通って、放射線治療を受けなければならず、通院にかかる時間などから、その期間は、仕事をお休みせざるをえません。ただ、今後の治療費のことを考えるとお金のことが心配です。お休みしている間は、全くお給料をいただくことはできないのでしょうか。

(40代 女性)

A:会社員ならまず「年次有給休暇」を使い。次に「傷病手当金」を検討。

みなさんは、周囲に「がんになった」と告げたとき、「仕事なんか辞めて治療に専念したら」と言われたことってありませんか?

そりゃあ、誰だって、できればそうしたいでしょうよ! でも、自分のキャリアも含め、これからの医療費の負担とともに仕事を休むことで収入が途絶えてしまうと、将来の生活費の不安も出てきます。

私のような自由業の場合、働かなければお金は入ってきません。でも羨ましいことに、会社員の場合、仕事を休んだからといって、いきなり収入がゼロになってしまうことはないのです。健康保険法や労働基準法などの公的制度によって生活が保障されているからです。

まず、ご相談者のように、がん治療で会社を休まざるをえないときに利用したいのが「年次有給制度」。いわゆる有休です。

有休は、労働基準法で定められている休暇で、会社の規模や雇用形態に関わらず一定の要件を満たす労働者であれば誰でも取得できます。

有休の日数は、勤続年数によって異なり、たとえば、勤続年数6年6カ月の人は、1年につき20日間が付与されます。

がん治療でお休みした期間が、この有休の付与日数内であれば、お給料が支給されなかったり、減額されたりすることはありません。

では、この有休を使い果たしてしまったら? 会社によっては傷病休暇や積立休暇といった制度を設けている場合もありますが、ほかに利用できる休暇がなければ、欠勤扱いになってしまいます。

そこで、次に検討したいのが健康保険の「傷病手当金」制度です。

傷病手当金を受けるには、①療養中であること②労務不能であること③連続する3日間の働けない期間(待期期間)があることの3つの要件を満たす必要があります。

傷病手当金が支給されるのは、3日間の待期期間後、4日目以降の休んだ日から最長1年6カ月まで。有休であっても待機期間としてカウントされます。

傷病手当金の金額は、お給料から計算した平均的な日給(標準報酬日額)の2/3相当額。さらに、会社から休業の特別手当等が支給されている場合、その金額が傷病手当金よりも多ければ傷病手当金は支給されませんが、少なければその差額が支給されます。

大手企業の組合けんぽ等では、傷病手当金にも独自給付を上乗せしているところもあります。「福利厚生のしおり」などでチェックしてみましょう。

FP黒田尚子からひと言
基本的に、傷病手当金は会社員等が受けられる制度。自営業者・自由業等は、民間の所得補償保険などで万が一の際の所得保障を準備しておかなくてはなりません。

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