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黒田尚子のがん節約術
医療費控除を受けるためには確定申告が必要
がん患者やそのご家族にとって、がんとお金に関する不安や問題を少しでも解消し、治療に専念できる手助けになればと考えています。
黒田尚子(くろだ なおこ)
1992年大学卒業後、大手シンクタンク勤務中にFPの資格を取得。1998年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。
Q:医療費控除の申請手続きはどうすればいいでしょうか?
妻が非小細胞肺がんと診断され、2011年12月に胸腔鏡手術を受けました。お蔭様で手術は無事成功。もともと妻も働いており、今は徐々に職場復帰を果たしています。そういった中、先日病院で、医療費控除の案内掲示を見ました。申請すればかかった医療費の一部が戻ってくるというのですが……。具体的にはどんな手続きをすればいいのでしょうか。
A:医療費控除のポイントは3つ
先日、あるセミナーでも、医療費控除について質問を受けました。会社員なので、確定申告などしたことがないとか。私は個人事業主ですから、確定申告は毎年の恒例行事なのですが、多くの人にとってまだまだ「確定申告は難しい」というイメージがあるようです。
さて、医療費控除とは、同じ年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が、10万円(所得が200万円未満の人は所得の5%)を超える場合、確定申告することで所得税の還付が受けられる制度です。
なお、この10万円超というのは、支払った医療費から生命保険等や高額療養費の給付金を差し引いた金額になります。
医療費控除のポイントは3つ。
第1に、夫婦共働きの場合は所得の多い人が自分や家族の医療費を支払ってまとめて控除を受けること。
所得税等は所得の多い人ほど税率が高くなるしくみを採用しているため、同じ金額の医療費控除でも、所得の多い人ほど戻ってくる金額が多くなるのです。
第2に、医療費控除の対象となる「医療費」に注意すること。
対象となるのは、原則「治療に要した費用」です。病気の予防や健康増進のための出費(サプリメント等)は認められません。
ただし、通院のための公共交通機関の交通費や緊急の場合のタクシー料金等はOK(本人分のみ)。差額ベッド代も、治療上医師の指示がある場合は対象となります。
第3に、医療費控除を受けるためには確定申告が必要であること。
所得税の申告時期は、原則2月16日から3月15日まで。ただし、税金が戻ってくる還付申告は1月1日から可能です。
申請時には、還付を受ける年の源泉徴収票、医療費の領収書や交通費のメモ、生命保険の入院給付金や高額療養費で支給された金額がわかる書類、所得税の確定申告用紙、医療費の明細書、還付金の振込先の銀行の口座番号、認印などを用意しておきましょう。
詳しいことは、住所地の税務署に行けば、対象となる医療費や申告書の記載例など丁寧に教えてくれますし、市役所などで無料相談会も開催されています。
さらに、最近利用者が増えているのがe-Tax (電子申告)です。
これは、あらかじめ一定の手続きをしておけば、すべてネット上で税金の申告や納税などが完了する便利なシステム。
しかも、e-Taxで申告すると、最高4000円の税額控除(平成23年分。1回のみ)や、添付書類の免除といったメリットもあり、お勧めですヨ。