黒田尚子のがん節約術

生き方や価値観は人それぞれ。だからライフプランもさまざま

イラスト/コヤマ ノリエ
発行:2012年11月
更新:2013年6月

  

がん患者やそのご家族にとって、がんとお金に関する不安や問題を少しでも解消し、治療に専念できる手助けになればと考えています。

黒田尚子(くろだ なおこ)

1992年大学卒業後、大手シンクタンク勤務中にFPの資格を取得。1998年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。

Q:乳がん経験者の独身1人暮らしです。将来の人生プランが不安なのですが?

1年前乳がんの手術を受けました。今も通院しています。病気のため結婚話もなくなり、現在も独身で1人暮らしです。会社は復職できましたが、通院や検査などで、休みがちです。リストラされる不安をかかえながら、これからの人生設計をどう考えたらいいのかわからなくて不安でいっぱいです。将来のプランをどのように立てればいいのかアドバイスをお願いします。(32歳 女性)

A:がん告知後のライフプランは1つではありません。

私自身も、2年半ほど前に乳がん告知を受けたとき、「あなたの5年生存率は50%です」と主治医から宣告されました。

こんな元気一杯で、痛くもなんともないのに。あと5年生きられるか確率は半々なんて。もちろん5年生存率は、5年後に生存している人の割合であり、統計上の数字ということはわかっています。それでも、あのときのショックは一生忘れることができないでしょう。

私たちFPは、ライフプランという言葉をよく使います。ライフプランというのは、いわば生涯生活設計のこと。将来の生活状況や環境の変化を予測して作成する人生の生活設計です。

一昔前と異なり個人の生き方や価値観も人それぞれ。それに応じて、ライフプランもさまざまです。

しかし、がん患者さんはある日突然告知によって生命に限りがあることを自覚させられ、死までの持ち時間が与えられてしまいます。

そんな特殊な状況下では、ライフプランなど立てようがないと皆途方に暮れることでしょう。それでも、多くのがん患者さんは、限られた条件のなかで、悔いのない人生を全うしようと、自分の生きがいとなる仕事や表現活動、家族や友人との時間に全力を注いでいるのです。

そんな千差万別のがん患者さんにとってライフプランを立てる上でのセオリーなど存在しません。

唯一FPとしていえるのは、主治医とともに自分の症状をチェックしながらゆるやかな見通しを立てつつ、常に最悪の事態を考えて何事も早めに対処するのが重要だということです。

ご相談者のように独身で1人暮らしの場合、収入源を確保することが最優先事項。治療のための通院等で、会社も休みがちになるのであれば、上司や同僚に自分の状況をきちんと説明して適切な配慮を職場から引き出すことが大切です。

日本人特有の、以心伝心で自分が直面している問題のすべてを周囲に正しく察してもらおうというのは、がんという思いがけない状況下において、たとえ家族や近しい友人であっても難しい話です。

2011年公開の『エンディングノート』はがんと向き合う父親の姿を娘が記録したドキュメンタリー。この映画の中で、主人公は、人生最後の終活に取り組みます。映画を観たとき、終活とは決して「終焉に向かう活動」だけをするという意味ではなく、「終焉」を見つめ準備することで今をよりよく生きようという意味が込められているのだと強く感じました。

FP黒田尚子からひと言
告知後のライフプランは1つではありません。がんを嘆くばかりでなく、今後の人生の可能性を冷静に考えるための情報が大切です。

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