黒田尚子のがん節約術

療養中の生活を支えてくれるのが雇用保険。すぐに働けない場合は、受給手当の延長手続きを

イラスト/コヤマ ノリエ
発行:2012年7月
更新:2013年6月

  

がん患者やそのご家族にとって、がんとお金に関する不安や問題を少しでも解消し、治療に専念できる手助けになればと考えています。

黒田尚子(くろだ なおこ)

1992年大学卒業後、大手シンクタンク勤務中にFPの資格を取得。1998年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。

Q:会社を退職後の手当はありませんか?

半年前に大腸がんのステージ3と診断され、手術をしました。その後、再発防止のため、術後の補助化学療法を行っております。手術後、職場には復帰しましたが、現在体調もあまり芳しくなく、今月末で会社を退職することになりました。ただ、これからのがん治療のことを考えるとお金のことが心配です。会社を辞めた後に、何か手当てなどいただくことはできないのでしょうか。

(50代 男性)

A:雇用保険の受給延長手続きを

治療や体調の悪さから仕事や会社をやめなければならないとしても、がん患者の多くは、今後の経済的な問題や不安がつきまとうもの。そんなときの生活の支えとなるのが雇用保険の基本手当です。

たまに「会社を辞めると失業保険がもらえる」と言う人がいますよね。この失業保険=雇用保険なのです(昭和49年に「失業保険法」が「雇用保険法」に改正)。

雇用保険では、働く意思と能力があるにもかかわらず仕事に就けない状態を「失業」とみなし、一定の受給要件(原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が12カ月以上)を満たした人が、手続きを行うことで、基本手当を受給できるようになっています。

基本手当の受給期間は、原則として離職の日の翌日から1年間。受けられる日数(所定給付日数)は、離職理由や離職時の年齢、被保険者期間によって異なります(90~360日まで)。

そこでがん患者さんは要注意!

この受給期間を過ぎてしまうと、所定給付日数が残っていても、基本手当の支給が打ち切られてしまうのです。

基本手当を受給するためには、「労働の意思および能力があること」が大前提。ですから、ご相談者のようにがん治療ですぐに働けないという人は、雇用保険の「失業」とは認定されず、せっかくの基本手当を受給できないまま受給期間が終了してしまう可能性があります。

そうならないためには、がんなどの病気等によって継続して30日以上働くことができない人は、事前申請して、最長4年間(当初の1年+3年)、基本手当の受給期間を延長しておきましょう。

こうしておけば、がん治療を終え、ゆっくりと療養生活をし、体力が回復した上で求職活動をしながら失業手当を受給できます。

また、よくご質問を受けるのですが、健康保険の傷病手当金(会社員等の休業中の所得補償制度)と雇用保険の基本手当は、同時に受給できません。

ただし、傷病手当金の受給期間は1年6カ月ですので、前述のように基本手当の受給期間を延長しておくと、時期をずらして両方受給することも可能となります。

なお、基本手当の手続きは、お住まいの住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)です。体調が悪くて直接行けなくても、代理人による届出や郵送による手続きもできます。

詳しくは、ハローワークで相談すると良いでしょう。

FP黒田尚子からひと言
基本手当の受給期間の延長は、本人の病気のほか家族の介護でも可能です。いずれも手続きやご相談はお早目に。

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート12月 掲載記事更新!