リンパの会
リンパ浮腫患者が全国一律の医療を受けられるようにしたい
設立から18年目、活動の底辺が広がりはじめた
リンパ浮腫は先天性もありますが、主に乳がんや子宮がん、前立腺がんなどの術後の後遺症として現れます。リンパ管が傷つけられることにより組織の間にあるリンパ液を心臓へ戻す能力が低下して、リンパ液が体の組織の間に滞留した状態、いわゆるむくんだ状態をいいます。
私たちはリンパ浮腫と共存しながら、明るく生きるために体験や情報の交換を行ったり、先生方にご指導いただく会として、1989年に患者会「リンパの会」を設立しました。
設立当時は命さえ助かれば腕や脚のむくみなど我慢するのは当たり前という時代でした。専門にリンパ浮腫に取り組んでくださる医師や医療機関はほとんどなく、リンパ浮腫という言葉さえ耳慣れないものでした。ですからそのころは、ほかにリンパ浮腫に関する患者会はなく、大阪や岐阜、北海道など、東京だけでなく地方でも専門家を講師に迎えて講演会を催してきました。
当時、医療の隅におかれて、「どのような治療を受けたらいいのだろう」という不安におびえる患者さんたちが1番のぞんだものは、情報交換と患者同士の交流の場でした。私たちは毎週火曜日と金曜日の午後には新宿区四谷4丁目にある「リンパの会」事務局にて電話相談に答えたり、近隣の患者さんなどを紹介したりしてきました。
一時は全国的に会員が増加し、会員数1000名を超えたこともありました。現在では、緩和ケア科でも診察を受けられたり、リンパ浮腫外来を設けた施設が増えはじめてきました。それにつれて院内で患者会がもたれるようになっており、「リンパの会」の会員数は減少傾向にあります。が、このことは地方ごとにリンパ浮腫およびその治療について関心が高まってきたことの現れであり、「リンパの会」が地道につづけてきた活動からすれば、会員数の減少はむしろ活動の底辺が広まったのだと受け止めて喜ばしく思っています。
私たちの活動の柱になってきたのは、毎年5月前後に開催する総会です。専門家の講演、パネルディスカッション、患部別交流会などを行います。また、総会前には専門家への質問、意見をだしてもらい、当日にこれらに答えていただくようにしています。この内容は参加できなかった方のためや、1度聞いただけでは忘れてしまうなどの理由で会報『ながれ』としてまとめています。
2006年の『ながれ』に収載していますが、多くの患者さんはリンパ節損傷の原因となった手術後1~2年でむくみがでてこなければもう大丈夫、と安心してしまいがちですが、実際は10年後、20年後でも浮腫は発症するということを知っておいてほしいと思います。とくに軽いむくみがでたりひいたりを繰り返す時期は1番注意が必要です。
会報以外には2カ月に1回、『リンパの会・通信』を発行しています。むくみ対処用手作りバンドやアイスノンポケットなど看護師さんや患者さんが考案した手作りグッズの作り方や、弾性ストッキング・スリーブおよびマッサージ器の紹介、リンパ浮腫の治療のできる医療機関の紹介など身近で役立つテーマをその都度取り上げています。
弾性ストッキング・スリーブはリンパ浮腫の治療や予防に不可欠でありながらも、いまだ保険適用ではありません。
2005年、がん治療の推進を目指す民主党議員の懇親会に出席し、リンパ浮腫に対して患者が全国一律の治療を受けられていない現状を述べ、リンパ浮腫治療のための保険適用を認めてほしい旨の主張を行いました。
また、昨年12月厚生労働省の「がん対策に関する意見交換会」では全国20の患者団体がヒヤリングを受け、リンパの会も出席しました。患者団体からはがん治療推進に関する多くの意見がだされ、「リンパの会」も緩和ケアのなかでのリンパ浮腫への取り組みや検診の啓蒙啓発に対しての取り組みについての意見を述べ、「リンパ浮腫患者の現状」を訴える資料を提出しました。今年はより多くの医療関係者にリンパ浮腫を知ってほしいという願いから、日本乳がん学会にブースをだす予定です。
これからは患者間の情報交換だけでなく、リンパ浮腫を政府や世間にアピールできる活動に力を入れていきたいと思っています。
リンパの会
〒160-0004 新宿区四谷4-24 中島第1ビル101
TEL&FAX 03-3355-5657
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