ジェムザール+シスプラチン以外の抗がん剤治療は?

回答者:森実 千種
国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科医師
発行:2012年4月
更新:2013年11月

  

手術ができない胆道がんと診断され、現在、ジェムザールとシスプラチンによる抗がん剤治療を行っております。しかし、この治療で効果がなかった場合、次の抗がん剤治療というのはあるのでしょうか? 胆道がんの治療には、あまりはっきりとした情報がなく、とても不安です。

(大阪府 男性 58歳)

A TS-1単剤が使われる場合が多い

現在、切除ができない、もしくは切除後に再発した胆道がんに対する治療薬として広く使われている抗がん剤には、ジェムザールとシスプラチンとTS-1という3剤があります。

そのなかで、最も効果が期待できる抗がん剤の組み合わせは、ジェムザールとシスプラチンの併用療法です。これは切除ができない、もしくは切除後に再発した胆道がんを対象とした臨床試験で実証されています。

当時最も広く用いられていたジェムザール単剤療法と、ジェムザールとシスプラチン併用の治療成績を比較する大規模な研究が行われ、併用療法の治療効果のほうが良好でした。そのため、ジェムザールとシスプラチン併用が切除不能、もしくは再発胆道がんに対する第1選択の治療法です。TS-1単剤療法や、ジェムザールとTS-1の併用療法についても小規模ではありますが良好な臨床試験の結果が報告されており期待はされていますが、現時点では、ジェムザール+シスプラチン併用療法と比較してより良い治療なのかどうかは、はっきりとわかっていません。

今回、ご相談された患者さんのようにジェムザールとシスプラチン併用療法を受けられている患者さんが、今後その治療が効かなくなってしまった場合(このような状況での治療を2次治療と呼びます)、どのような治療を行うのが良いのかについては、まだ十分わかっていないのが現状です。

先に述べたように、我が国ではTS-1が期待されていることもあり、このような状況ではTS-1が多く用いられています。2次治療としてのTS-1療法の効果を調べた臨床研究は今のところ小規模なものしかありませんが、一定の効果が報告されています。

ジェムザール=一般名ゲムシタビン シスプラチン=商品名ブリプラチン、ランダ TS-1=一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム

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