胆管ドレナージの必要性は?

回答者・砂村眞琴
大泉中央クリニック院長
発行:2014年3月
更新:2014年6月

  

関門部胆管がんで手術前の胆管ドレナージ(内視鏡的経鼻胆道ドレナージ:ENBD)と胆汁還元を勧められたのですが、必要性はどの程度あるのでしょうか?

(42歳 男性 千葉県)

QOLを優先して考える

大泉中央クリニック院長の砂村眞琴さん

胆管が閉塞した状態が続き胆汁が滞留すると、肝機能が悪化し、肝不全に陥る可能性があります。こうした場合、胆汁を体外または十二指腸へ誘導するのが、胆管ドレナージです。

胆管ドレナージには、内視鏡的逆行性胆管ドレナージ(ERBD)と経皮経肝胆管ドレナージ(PTBD)、または内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)という方法があります。ドレナージされた胆汁が腸管内を流れる内瘻法(ERBD)が、体外に排泄され腸管内に戻らない外瘻法(ENBD、PTBD)と比較し生理的であり、肝再生の促進・ビタミンKや脂質の吸収・利胆作用・腸内細菌叢の正常化、小腸粘膜ダメージの改善の点で優れたドレナージ法です。

外瘻法では、胆汁が対外に誘導されるため、胆汁を腸管内に戻す胆汁還元を指導されることがあります。先に述べた胆汁の効果を期待するためです。その一方で、胆汁独特の味や臭いのため、内服に苦痛を伴うことも多いという側面があります。

継続していくためには、その意義を患者さん自身が理解する必要があるでしょう。ちなみに、胆道がん診療ガイドラインの推奨度はC1。つまり絶対に必要ということではなく、患者さんご自身の苦痛があまりなく、QOL(生活の質)を損なわないのであれば行ってもよい、といった程度のものであることを念頭に置くとよいでしょう。

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