減黄術とはなんですか?

回答者:森実 千種
国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科医師
発行:2013年7月
更新:2013年11月

  

Ⅰ期の胆管がんと診断されました。CT(コンピュータ断層撮影)検査の結果、切除前に閉塞性黄疸を解消する減黄術が必要だと言われました。どういったものか、教えてください。

(秋田県 女性 51歳)

A 胆汁の逃げ道を作る手術

肝臓には、脂肪を消化しやすくする「胆汁」を作る働きがあります。作られた胆汁は「胆管」を通り、途中で「胆のう」という袋にためられ濃縮されたあと、「総胆管」を通り十二指腸に排出されます。

胆管がんでよく見られる閉塞性黄疸とは、腫瘍により胆管がつまり、十二指腸に排出されるべき胆汁が、排出されない状態です。その結果、かゆみがでたり、白目が黄色くなったり、尿の色が濃くなる、便が白っぽくなるといった症状が出ます。血液検査ではビリルビンやγ-GTP、ALPといった数値が上昇します。

強い黄疸がある状況では、肝臓が十分に働くことができないので、外科切除や化学療法などの体に負担がかかる治療は危険です。がん治療の前に十分に黄疸を改善させた(減黄した)うえで治療に臨む必要があります。

減黄術とは、胆汁の逃げ道を作ることです。具体的には、体外にチューブでつなげた胆汁バッグへ排出する外瘻と、胆管の狭くなった部分にトンネルを作る(ステントを挿入する)ことで胆汁が流れるようにする内瘻があります。

チューブにつながれることがないため患者さんの負担が少なく、胆汁の流れがより生理的であることなどから、現在では内瘻が主流となっています。一方で、流出する胆汁の色や量を実際に見て確認できる、トラブルが発生した際に入れ替えがしやすい、といった外瘻のメリットもあります。

内瘻には、穿刺針で皮膚・肝臓を貫き胆管を穿刺し、その穴からカテーテルを挿入してステントを入れる「経皮経肝的胆道ドレナージ(PTSD)」と、内視鏡でファーター乳頭部(十二指腸にある胆管の出口)からカテーテルを挿入しステントを留置する「内視鏡的胆道ドレナージ」があります。

現在は、内視鏡的方法によるものが多く用いられています。また、挿入するステントにも、プラスチックステント(チューブ状のもの)と、金属ステント(針金を織り込んだようなメッシュ状のもの)、カバード金属ステント(金属ステントの周囲に膜を張り、腫瘍が入らないよう工夫されたもの)などがあります。手術前に金属製ステントは用いないのが一般的です。

経皮経肝的胆道ドレナージは、針を穿刺しカテーテルを入れるときに痛みや出血が伴います(局所麻酔を使用)。一時的に胆管炎や腹膜炎といった合併症も起こることがあります。

内視鏡的胆道ドレナージでもファーター乳頭部を切開する乳頭切開術を行う場合、出血や十二指腸の穿孔(穴が開くこと)などのリスクがあります。内瘻の場合、挿入したステントの影響で膵炎や十二指腸潰瘍、胆道出血などを起こすこともあります。

通常、内視鏡的ドレナージは寝た状態で処置を行うため、唾液や胃の内容物が肺に流れてしまい起こる誤嚥性肺炎にも注意が必要です。また、ステント挿入後も、経過中に再閉塞をしたり、ステントがずれたり抜けたりすることで黄疸や胆管炎、十二指腸潰瘍が起こることもあります。

減黄術後に自宅で生活する場合、患者さんはかゆみが出る、白目が黄色くなる、尿が濃くなる、便の色が薄くなるといった黄疸の兆候には注意が必要で、とくに高熱を伴った場合は、すぐに主治医に相談をしましょう。

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