腰痛など骨の痛みがひどい。痛みをとる方法は?

回答者:薄井 紀子
東京慈恵会医科大学付属第3病院 腫瘍・血液内科診療部長
発行:2010年12月
更新:2013年12月

  

多発性骨髄腫患者です。現在、化学療法による治療中ですが、腰痛に苦しんでいます。こうした骨の痛みにはどんな治療法があるのでしょうか。

(埼玉県 男性 69歳)

A 麻薬製剤を早期から積極的に使い、痛みを上手にコントロール

多発性骨髄腫では、ほとんどの患者さんに骨の痛みや骨折などの骨病変がみられます。骨病変がなぜ起こるのかというと、骨髄腫細胞によって活性化された破骨細胞が骨皮質を食べて、骨を壊してしまうからです。

患者さんの多くは、ご相談者のように脊椎が重力に負けて押しつぶされる圧迫骨折による腰痛を訴えられます。

骨病変の痛みには、骨病変への放射線治療や、痛み止めの麻薬製剤を用いることができます。

「麻薬」と聞けば、みなさんあまりいいイメージを持たないかもしれませんが、最近では非常に良い麻薬製剤やオピオイドと呼ばれる鎮痛薬が出ています。こうした薬剤を早期から積極的に使うことで、痛みを上手にコントロールすることができます。

ここで非常に重要なのは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を安易に使用しないことです。多発性骨髄腫のもう1つの合併症は、腎障害です。非ステロイド性抗炎症薬は、腎障害を引き起こします。他のがんなどは、がんによる痛みにはまず、非ステロイド性抗炎症薬を使いますが、多発性骨髄腫患者さんは極力避けてください。

骨折は、日常生活を著しく阻害するため、骨折の危険がある骨病変に放射線治療を行うこともあります。数カ所に骨病変があったとしても、治療は可能です。多発性骨髄腫に対する化学療法や適切な放射線治療を行いながら、痛みに対して麻薬製剤を適切に用いて痛みをコントロールしていきます。

ビスホスホネート製剤という、破骨細胞の作用を抑える薬剤もありますが、これは骨病変の治療薬というよりも、骨病変が起こる前の段階から使い、骨病変を予防するという位置づけの薬剤です。この薬剤は、もともと多発性骨髄腫の合併症である高カルシウム血症の予防薬なので、その効果も発揮します。

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