高齢の母が再発。サリドマイドを使えるか

回答者:薄井 紀子
東京慈恵会医科大学付属第3病院 腫瘍・血液内科診療部長
発行:2010年12月
更新:2013年12月

  

71歳の母の病状についての相談です。最近、多発性骨髄腫の再発がわかりました。サリドマイドによる治療をしたいと思うのですが、安全管理や手続きがとても複雑だと聞きました。母とは離れて暮らしており、1人暮らしです。高齢の母でも安全に治療を受けることはできますか。

(徳島県 女性 45歳)

A 患者本人が薬をよく理解し、安全に服用することが大事

サリドマイドは「サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)」という管理方法に則って使用しなければなりません。サリドマイドには催奇性があり、絶対に奇形の子供を出さないようにするために、この安全管理ができました。要は、サリドマイドの服用中に避妊をしているか、また他の人が服用していないか、ということを厳密に管理するための制度です。

以前は患者さん、医師、薬剤師がサリドマイドを安全に管理していることを製薬会社にFAXし、処方が行われていましたが、今年の10月からはずいぶん簡素化され処方できるようになりました。患者さんが安全管理をきちんとできていることを医師が確認し、薬剤部でも再び確認します。そして、その内容を薬剤部から製薬会社にFAXし、処方されます。

治療前に、なぜこのような安全管理が必要なのかを患者さんに学んでもらい、理解できたかどうかのテストも行います。1回学べば、そんなに難しいものではありません。

ただ、近親者で薬剤を管理する人がいることが本当は望ましいです。ご相談者の場合、お母様が1人で暮らしているとのことですが、お母様がしっかりとサリドマイドについて理解され、なおかつ安全にお母様が服用できているかどうか、ご相談者が電話などでコミュニケーションをとることができるのならば可能かと思います。

2010年7月に承認されたレブラミドはTERMSよりも安全管理はもっと簡便です。この薬剤は、保険承認がおりて日が浅いので、使用については、経験豊かな血液専門医の先生と相談することをおすすめします。

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