再発した場合の薬剤の選択や治療効果、副作用について知りたい

回答者:小林 武
東京都立駒込病院 血液内科医師
発行:2009年2月
更新:2013年12月

  

2年前に、多発性骨髄腫の3期で、化学療法と自家末梢血幹細胞移植を受けました。現時点では、経過は順調ですが、再発のことが気になります。いろいろ調べると、再発にはベルケイド、サリドマイド、レブラミド(一般名レナリドミド)などの新しい薬が使われようになっているようです。再発した場合、これらの薬をどのように選んだらよいのでしょうか。治療効果や副作用についてもアドバイスしてください。

(福井県 男性 65歳)

A ベルケイド、サリドマイドの使用が多い。レブラミドは現在保険が未適用

最近、多発性骨髄腫の再発治療には、分子標的薬のベルケイドや、サリドマイドなどの新しい薬が用いられるようになりました。

ベルケイドは、06年11月、再発または難治の多発性骨髄腫の治療薬として、保険適用になりました。注射薬で、外来でも治療できます。海外で発表された報告では、その治療効果は30パーセントほどです。副作用としては、下痢や食欲不振などの消化管症状や、手足がぴりぴりするなどの末梢神経障害などがあります。また、日本では間質性肺炎が多いようです。使用量が多いと、血小板が減少して出血しやすくなります。

サリドマイドは、90年代に海外で多発性骨髄腫への薬効が報告されていました。治療効果は30パーセントほどです。これまでは、未承認の状態で、患者さんが個人輸入して用いていました。

しかし、08年10月3日に、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会が、サリドマイドを再発または難治性の多発性骨髄腫の治療薬として、製造販売を承認すると答申しました。

サリドマイドは飲み薬ですから使いやすいです。副作用としては、眠気や便秘、末梢神経障害などが報告されています。大きな副作用としては、足などの静脈に血栓ができやすくなり、血栓が肺に飛んで肺塞栓を起こすこともあります。また、量を増やすと治療効果はありますが、副作用として、血液中の白血球(好中球)が減少して、感染症が起こりやすくなります。ひどい時は、発熱することもあります。

レブラミドは、サリドマイドによく似た薬です。まだ、日本では保険適用になっていません。ですから、再発した場合には、ベルケイドかサリドマイドを用いることになると思います。

その次の治療としては、抗がん剤によるサルベージ(救援)療法があります。それまでに用いた抗がん剤の種類などを考慮して、いくつかの抗がん剤を組み合わせて使います。組み合わせの内容は、病院によってさまざまです。

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