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ルミナルAでリンパ節転移あり。抗がん薬治療も必要?

回答者・上野貴史
板橋中央総合病院外科医師
発行:2014年6月
更新:2014年9月

  

3月に温存手術を受けました。がんの大きさは3.5㎝ほど、サブタイプはルミナルAでした。手術中のセンチネルリンパ節生検で陽性が出たため、左脇のリンパ節を郭清しました。現在病理検査の結果を待っているのですが、もしリンパ節に転移が多かった場合は、抗がん薬治療となるのでしょうか。

(54歳 女性 和歌山県)

リンパ節転移が3個以下なら 抗がん薬の省略も可能

板橋中央総合病院外科医師の
上野貴史さん

ルミナルAとは、乳がんの治療指針に使われるサブタイプの中で、HER2は陰性ですが、ホルモン受容体は陽性のタイプです。ホルモン感受性が高く、がんの増殖活性の低い群で、比較的再発のリスクが低く、ホルモン療法が適応になるタイプです。

まずは、ルミナルAとの診断ですが、これは遺伝子解析ツールであるオンコタイプDXなどにより確定診断されたものではなく、臨床的所見のみで診断されたものと推察されます。しかし、それだけでルミナルAと診断を確定するのは難しいと思います。ただ、オンコタイプDXでの検査は、現在35万円以上と高額なもので、そこまでして検査をしたいかどうかはご本人の判断になります。臨床病理学的にはKi-67染色率が14~20%以下、プロゲステロン染色率が20%以上あることがルミナルAとルミナルBの鑑別になります。

ここではルミナルAと判定されたとしてお話します。

ルミナルAの治療はホルモン薬単独で、抗がん薬の追加は原則不要と考えられていますが、リンパ節転移が4個以上あった場合には、やはり抗がん薬も加えたほうがよいと一般的には考えられています。

リンパ節転移が1~3個の場合には、抗がん薬治療を加えるかどうかは、議論の的になっており、医師・施設によって意見は分かれています。治療法はがんの性質によって決めるべきであり、リンパ節転移があっても抗がん薬は不要と考える人もいますし、過去のデータから、抗がん薬を加えて無効だったということは証明されていないということから、やはり抗がん薬を加えたほうがよいと考える人もいます。

私はリンパ節転移が1~2個ならホルモン療法単独でもいいと思います。3個の場合には抗がん薬を勧めることが多いです。

この点については、現在、リンパ節転移が3個以下でオンコタイプDXのスコアで低-中間リスクになった人を、ホルモン療法単独とホルモン療法+抗がん薬治療併用群に割り付けて比較検討するRxPONDERという試験が実施されています。

この試験結果が出るまでは、抗がん薬を省略して安全かどうかの結論は出ません。主治医とよく相談した上で、抗がん薬治療をするかどうかを決めるべきでしょう。

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