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加速乳房部分照射を受けたい。どんな治療法か

回答者・関口建次
苑田会放射線クリニック副院長
発行:2015年9月
更新:2015年12月

  

右乳房に大きさ3㎝のがんが見つかりました。主治医から乳房温存手術を行い、その後放射線照射を行う旨説明があったのですが、放射線治療で1カ月以上、毎日病院に通う必要があると聞いて悩んでいます。小学生の子どもが2人おり、働いてもいるので通院に時間を割くことができるか不安です。色々調べると、放射線治療として加速乳房部分照射という方法があり、治療期間を短縮できると知りました。どのような治療法ですか。可能なら受けたいと考えています。

(43歳 女性 神奈川県)

加速乳房部分照射は勧められない。寡分割照射の検討を

苑田会放射線クリニック副院長の
関口建次さん

加速乳房部分照射は「乳房温存療法を行って再発する場合、7割がもとの腫瘍近くから再発し、離れたところからの再発はわずか3%である。それならば乳房全体ではなく、腫瘍部周辺だけに照射を行えばいいのでは」という考えから生まれたものです。

通常の乳房温存手術とセットで行う乳房全体への放射線照射は、1回2Gy(グレイ)を週5回、合計25回と、5週間通院する必要がありますが、加速乳房部分照射だと短期間で治療が終わります。

加速乳房部分照射には、❶術中照射 ❷腫瘍摘出部腔内アプリケータを用いた照射 ❸組織内照射 ❹外部からピンポイント的に照射する3次元原体照射あるいは強度変調放射線治療――の4つの方法があります。

米国や欧州のガイドラインでは加速乳房部分照射が適しているケースが定められています。

それによると米国のガイドラインでは、年齢が60歳以上で、がんの大きさが2㎝以下、また欧州のガイドラインでは年齢51歳以上、がんの大きさは3㎝未満と定められています(細かい規定は省く)。

これだけの情報からしてもご相談者は(43歳、3㎝)、対象として外れます。また、日本の「乳癌診療ガイドライン」でも、加速乳房部分照射は現在臨床試験中であり、エビデンス(科学的根拠)は十分ではなく、「C-2:基本的に勧められない」となっており、ご相談者には勧められません。

ではどうしたらよいかというと、乳房全体への照射として通常の分割照射ではなく、寡分割照射(短期照射)という方法があり、事情がおありならそちらをお勧めします。

寡分割照射とは、通常の分割照射では25回照射するところを、16回程度に回数を減らします。その代わり、1回の線量を2Gyから2.66Gy程度にして、合計42.56Gy程度を照射する方法です。

カナダやイギリスで行われた臨床試験では、寡分割照射は通常の分割照射と比べて、予後や整容性、副作用という点からも同等だという結果が報告されており、日常臨床でも普通に行われています。

一方、米国のガイドラインでは、寡分割照射の対象は、❶50歳以上 ❷がんの大きさ5㎝以下、リンパ節転移なし ❸化学療法を受けていない ❹線量均一性が保てる患者(線量を均一に照射できる患者)――という4つをその適応基準としてあげています。同様に日本のガイドラインでも、4つの基準を全て満たしている場合「B:実践するよう推奨する」、満たしていない場合でも「C-1:細心の注意のもと行うことを考慮してもよい」とされています。

ご相談者の場合、43歳ということで50歳以上という基準には該当しませんが、カナダやイギリスで報告されたエビデンスは50歳以下の人も組み込まれた臨床試験が根拠になっていることなどを考慮すると、ご事情がおありなら寡分割照射をお勧めします。

ただし、43歳と年齢が若く、再発リスクが高いので、16回の寡分割照射にブースト照射といって5回ほど腫瘍があった部位に追加照射を行うことを個人的にはお勧めします。

なお、がん保険に入られている場合、約款についても確認するとよいでしょう。放射線治療の場合、線量が50Gy以上で保険が下りるケースが多く、寡分割照射の場合43Gy程度なので、保険会社によっては保険が下りないケースもあり得ます。

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