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Ki-67の数値が高い。ホルモン療法でよいか

回答者・上野貴史
板橋中央総合病院外科医師
発行:2015年11月
更新:2016年3月

  

右乳房のがんを乳房温存術で切除しました。がんの大きさは1.5㎝、リンパ節転移なし、エストロゲン受容体(ER)80%、プロゲステロン受容体(PgR)80%で、Ki-67は40~50%でした。主治医から、ホルモン療法がよく効くタイプなので、術後の治療では抗がん薬の上乗せはせず、リュープリンとタモキシフェンの補助療法を行うと言われたのですが、Ki-67の値が高いことが気がかりです。ホルモン療法だけでよいのでしょうか。

(47歳 女性 埼玉県)

ルミナルBタイプは 抗がん薬併用が基本

板橋中央総合病院外科医師の
上野貴史さん

数値から判断すると質問者のサブタイプはルミナルBになります。ルミナルタイプはAとBに2分され、組織標本で判別する場合にはKi-67の値を用います。20%ならルミナルAタイプになりホルモン療法だけでもよいのですが、40~50%というのはルミナルBタイプとなり、原則的に抗がん薬を併用したほうがいい範疇になります。

このKi-67は細胞周期関連核タンパク質で、分裂している細胞で発現されます。Ki-67発現率が高いとがんの増殖が盛んということになります。ルミナルAかBかを判定する材料とされ、カットオフ値(境界)は、以前は14%とされていましたが、最近は20%に変更されました。

しかし、本来のサブタイプ分類は遺伝子パターンで行うものであり、Ki-67発現率などは、あくまで代用として使っているので絶対的なものではありません。抗がん薬治療が必要かどうかを本当に調べたいなら、50万円ほど自己負担になりますが「オンコタイプDX」という遺伝子検査をして、再発リスクのスコアが低ければ、抗がん薬をしなくても安心できると思われます。

そこまで費用負担はしたくないのであれば、一般的には、47歳という年齢を考えても抗がん薬を併用することを勧めます。抗がん薬はアドリア系と、タキサン系の逐次投与やTC療法(タキソテール+エンドキサン)が行われます。

リュープリン=一般名リュープロレリン タモキシフェン=商品名ノルバデックス、タスオミン タキソテール=一般名ドセタキセル エンドキサン=一般名シクロホスファミド

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