ホルモン療法を続けたいが
2019年10月、左乳房にしこりがあり検査。乳がんステージⅡb、ルミナルA型と診断されました。脇の下のリンパ節に転移が1カ所確認されました。手術を提案されましたが、手術は避けたかったのでホルモン療法を行いました。
2020年8月、主治医から術前化学療法に切り替えませんか、との提案がありました。ホルモン療法でしこりは少し小さくなっているので、ホルモン療法をこのまま続けたいのですが、術前化学療法に切り替えなくてはいけないでしょうか。
(53歳 女性 神奈川県)
A 根治を目指すなら手術を勧める
板橋中央総合病院
乳腺外科医長の上野貴史さん
乳腺外科医長の上野貴史さん
術前に、半年から1年ぐらいホルモン療法を行なってから手術をするという選択肢はありますが、根治(こんち)を目指す療法で、手術をしないという選択肢はまずありえません。
患者さんが70歳以上の高齢者の場合、ホルモン療法だけで手術をしないという選択肢はありますが、あくまで姑息的治療であり、生存率が落ちなくても、後に局所治療が必要になることが多くなるため、全身状態が悪い患者さんのみが適応とされます。
主治医から術前化学療法に切り替えないかと提案されたということですが、ルミナルA型では通常不要な化学療法を施行することは、得策ではありません。強いていうなら術前療法が良く効いた場合、その後手術のかわりに凍結療法などのアブレーション治療を試験的に行うという方法もなくはないですが、長期的には局所再発が多く、手術をしないという選択肢は安全ではありません。
ホルモン療法をこのまま続けたいとのことですが、ホルモン療法は、いつかは効果がなくなりますから、根治を目指すなら、くどいようですが手術されることをお勧めします。