タモキシフェンとリフレックスを一緒に服用することで効果に影響はないのか
乳がんステージⅠと診断され、ホルモン治療としてタモキシフェンを服用しています。抑うつ症状が酷くなり精神科クリニックで抗うつ薬のリフレックスを処方されました。一緒に服用しても大丈夫な薬か尋ねたのですが、「ダメとは書いてないから」と、軽く返答されました。
タモキシフェンとリフレックスを一緒に服用することで、タモキシフェンの効果に影響はないでしょうか。また、リフレックスの副作用に高プロラクチン血症があるのですが、乳がんではない人が乳がんになる可能性があるということでしょうか。既に乳がん患者の場合、再発・転移のリスクがあるということでしょうか。再発・転移が怖くて飲めません。
(50歳 女性 長野県)
A 併用しても問題はない
板橋中央総合病院
乳腺外科医長の上野貴史さん
乳腺外科医長の上野貴史さん
確かに抗うつ薬の中にはパキシル(一般名パロキセチン)のように、タモキシフェンの効果を減弱する薬もあります。タモキシフェンはCYP2D6という酵素により、主な有効成分であるエンドタモキシフェンとなるのですが、パキシルにはCYP2D6阻害作用がり、そのため有効成分が減少するのです。併用は避けたほうが良いとされます。
リフレックス(一般名ミルタザピン)もセロトニン作用のある抗うつ薬ですが、パキシルと違い、タモキシフェンの作用には影響ありません。
実験および疫学データから、高プロラクチン血症と乳がん発症の関連が示唆されていますが、今のところはっきりとした関連は証明されていません。また、抗精神薬誘発性高プロラクチン血症と乳がんリスクとの関連を調べたレビュー論文からも、乳がん発症や乳がん死亡リスクと高プロラクチン血症との関連に決定的なものはないとされており、併用しても大丈夫だとされています。