ホルモン療法だけで再発は防げるか
2021年10月に右乳房に直径2㎝のがんが見つかり、12月に右乳房全摘手術を受けました。ホルモン受容体は陽性で腋窩リンパ節に7個の転移があり、悪性度3でした。高齢のため術後化学療法はやらないと言われ、放射線療法とホルモン療法を受ける予定になっていましたが、CT検査を受けたところ、「間質性肺炎の可能性があるので、放射線治療は取りやめる」と言われました。ホルモン療法だけで再発は防げるのでしょうか。担当医は、そのホルモン療法さえ「副作用がきつければ止めてもいい」と消極的です。
(81歳 女性 栃木県)
A 再発リスクを減らすことは可能
板橋中央総合病院
乳腺外科医長の上野貴史さん
乳腺外科医長の上野貴史さん
多少の副作用があっても、ホルモン療法をされることをお勧めします。再発を防げるかとのお尋ねですが、再発するリスクを減らすことが可能だからです。
放射線療法は局所再発を減らすことは可能ですが、生存率に関してはホルモン療法と比べてそれほど大きいものではありません。
また、術後化学療法はやらないと言われたとのことですが、抗がん薬の臨床試験でも80歳以上の方が参加した治験例は少ないので、抗がん薬治療を行って生存率が延びるかどうか、データがあまりないのが実情です。高齢者の場合、他の病気で亡くなるリスクも高くなるため、乳がん再発が減少しても生存率の向上にあまり反映されなくなるのです。
ただ、患者さんご自身の健康状態が良く、術後化学療法を是非受けたいということであれば、主治医にその旨を申し出られたらどうでしょうか。