断端陽性だが再手術をしなくていいのか
2022年6月中旬に左乳房にしこりがあることを発見しました。超音波検査と針生検を受けたところ、乳がんと診断。左乳房の部分切除を受けました。
病理検査の結果、乳房にある小葉の外までがんが広がった浸潤性小葉がんと診断されました。リンパ管や静脈へのがんの広がりはありませんでした。
ところがこれとは別に、非浸潤性小葉がんと診断された部分があり、その部分に断端陽性があるとのことでした。主治医からは放射線とUFTによる治療を提案されました。断端陽性なのに再手術をしなくて大丈夫なのでしょうか。またUFTは服用したほうがいいのでしょうか。
(52歳 女性 神奈川県)
A 追加手術は不要とされているが
乳腺外科医長の上野貴史さん
乳房部分切除後のマージンについては、2014年にアメリカの各種学会でガイドラインが発表され世界的に認められています。それによると非浸潤性小葉がん(LCIS)で断端陽性であっても追加切除は施行しなくて良いとされています。ただ、LCISには細胞が小さく単一の細胞として組織全体に広がっている一般的なクラッシクタイプと、クラッシクタイプの細胞より大きくより異常に見える多型性タイプがあります。クラッシクタイプでは追加切除は必要ないとされ、多型性タイプでは前がん病変の可能性もあるので追加切除をするかしないかはまだわからないとされています。
ご質問者は主治医から放射線とUFT(一般名テガフール・ウラシル)による治療を提案されたとのことですが、小葉がんは一般的に抗がん薬が効きにくいことがわかってきています。またUFTは、世界中で日本でしか使用されていない古い抗がん薬です。この患者さんの場合、その他の情報がわからないので服用したほうがいいかは、ハッキリしたことは言えません。放射線については温存術後の標準治療として必須です。