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男性の乳がん。どんな治療法がいいか

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2011年3月
更新:2014年1月

  

72歳の父のことでご相談です。父は、半年ほど前から乳首の下あたりの硬いしこりに気づき、しばらく様子を見ていましたが、2センチほどの大きさになり、わきの下も腫れてきたので私たちにも打ち明けました。病院でくわしい検査を受けた結果、乳がんと診断され、父も私たちも驚くとともに、症例が少ないということで不安を抱いています。どのような治療法がいいでしょうか。

(愛知県 女性 42歳)

A 女性の乳がんに準じた治療を行う

男性にも未発達ながら乳腺があるため、乳がんが発生します。男性の乳がんの発生率は低く、乳がん患者のうち、男性の割合は0.5~1パーセントを占めるにすぎません。また、乳がんの発症ピーク年齢が、女性の50歳前後に対して、男性は60~70歳と高めなのも特徴です。しかし、予後について男女差はありません。男性には乳房がないこともあり、診断は比較的容易につきますが、高齢者でしばしば見られる女性化乳房との鑑別が重要です。

男性の乳がんでは、抗がん剤の大規模臨床試験などは行われていませんが、治療は女性の乳がんに準じることが確立されています。手術によるがんの摘出が基本で、女性乳がんと同様に、必要に応じてホルモン療法や化学療法、放射線療法を行います。

男性の乳がんは、ホルモン感受性(男性の場合でも女性ホルモン)陽性の割合がきわめて高く、ホルモン治療がよく行われます。ただし、アロマターゼ阻害剤は男性の乳がんへの有効性がわかっていないため、初発の治療では抗エストロゲン剤のノルバデックス(一般名タモキシフェン)が第1選択になります。閉経後女性ではアロマターゼ阻害剤をよく使うため、この点に違いがあるといえるでしょう。ホルモン感受性がない場合は化学療法を行います。使用する化学療法剤も女性乳がんに準じます。

ご相談者のお父さんのケースは、がんの大きさや腋下リンパ節転移の可能性からして、病期は2期以上と推察されるので、手術を行ってから、病理検査を踏まえたうえで全身療法を行うという流れになると考えられます。

ホルモン感受性陽性=乳がん細胞には女性ホルモンの刺激によって増殖する性質があり、ホルモン感受性陽性とは女性ホルモンの刺激を受けやすいこと

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