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2期でリンパ節転移が2個。再発の可能性は?

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2010年12月
更新:2014年1月

  

2010年に入って右乳房へのがんがわかり、乳房温存手術を受けました。抗がん剤治療は行わず、放射線治療を受け、現在はホルモン剤のフェマーラ(一般名レトロゾール)のみを服用しています。ステージ(病期)は2A、がんのグレード(悪性度)は1、ホルモン感受性は強で、がん細胞の増殖能はわかりません。なおリンパ節転移が2個あり、リンパ節郭清した病理検査の結果、浸潤性乳管がんで他への転移はありませんでした。

(1)再発の可能性は、どのぐらいといえるのでしょうか?

(2)主治医の判断のように、ホルモン剤のみで、抗がん剤治療を行わない治療法で正しいでしょうか?

(3)主治医の先生からは、再発に関して「なったらなったで……」といわれましたが、ある程度時間が経たないと、何ともいえないのでしょうか?

(北海道 女性 58歳)

A 全身治療をしなければ、再発の可能性は26パーセントある

順番にお答えしましょう。

(1)米国の疫学的なデータを集めてオンライン化した、アジュバント・オンラインという再発リスクを予測するデータベースがあります。これは、患者さんの年齢、ホルモン受容体の有無、がんのグレード、腫瘍の大きさ、リンパ節転移数などを入れると、その方の一般的な再発率が割り出されるというものです。

これによると、ご相談者の場合、10年後の再発率は26パーセントになります。なお、この場合の再発率は、手術および放射線治療のみを受けた場合の確率になります。

(2)このアジュバント・オンラインによると、もしこの状態でホルモン療法のみを行った場合、再発率は13.6パーセントに減少、一方、化学療法+ホルモン療法を行った場合、再発率は10.9パーセントまで減少すると予想されます。

もし今から抗がん剤治療を行うと、再発率はホルモン療法のみの場合よりも、約3パーセント下がることになります。この3パーセントをどう判断するかが問題です。抗がん剤治療を行った場合、ホルモン療法単独と比べて、当然副作用も増えることになるからです。3パーセントしか変わらないのなら、つらい思いをしたくないという人もいますし、少しでも確率が減るのであれば、副作用にも耐えて、抗がん剤を行うという人もいます。その人個人の価値観により決定するものです。ですから、主治医の判断が正しいか正しくないかは、一概にはいえません。

ただし一般的にいって、ご相談者のようなホルモン療法単独でも、ホルモン療法+化学療法と比べてそれほど再発率に差がない場合、ホルモン療法だけの治療を選択する方も少なくありません。

(3)再発するかしないかは、正直いってお亡くなりになるまでわかりません。

がんの再発は術後3~10年でおきることが多い傾向にあります。

とはいえ、発症してから15~20年経って再発することも稀にあるため、何年たったら絶対大丈夫とはいえません。一般的には15年経てば、かなり安心できると思われます。

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