術前ホルモン療法とは?術前化学療法と効果は同じ?
2010年に入って乳がんが見つかりました。腫瘍の大きさは5センチで、主治医からは、化学療法を行って、がんを少しでも小さくしてから手術をするといわれており、現在術前化学療法中です。ただ、吐き気などの副作用がひどく、耐えられそうにありません。このことを主治医に話したところ、術前の化学療法にかわって、術前ホルモン療法というのもあると説明されました。術前ホルモン療法とはどういった治療なのでしょうか。術前化学療法と効果の点では同じでしょうか?
(高知県 女性 70歳)
A 効果が同じかは分からない。ただし、乳房温存率は向上する
術前ホルモン療法とは、術前化学療法と同様、温存手術をする前にホルモン療法を行って、がんの大きさを小さくしてから手術をする場合などに行われる方法です。ホルモン受容体陽性の方のみが対象となります。
閉経後の患者さんに対して術前ホルモン療法を行った場合、通常の術後補助療法と同等以上の治療成績が得られるかはまだわかっていませんが、乳房温存率は向上することがわかっています。ですから、もし現在行っている化学療法が副作用で耐えられそうにない場合、術前ホルモン療法に切り替えるのも1つの手だと思います。
ただ、術前ホルモン療法は、術前化学療法ほどデータが十分ではありません。予後への影響も明らかではありませんし、どの位の期間行ったらいいかも不明瞭です。そのため術前薬物療法が考慮される場合は、化学療法が第1選択とされていますが、ホルモン受容体陽性の場合には、術前ホルモン療法も治療選択肢の1つとして考慮できるとされています。質問者の場合、既に抗がん剤治療が行われているので適応にはなりませんが、可能ならば国内で行われている術前ホルモン療法の臨床試験に参加することが勧められます。
以上のように、術前ホルモン療法にはまだ不確かな部分もありますが、ご相談者の年齢を考えると、副作用が耐えられないのであれば、術前ホルモン療法に切り替えるのは妥当な選択肢だと思います。もちろんホルモン受容体が陽性の場合に限ります。