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2期でリンパ節転移が2個。抗がん剤治療は必要か

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2010年11月
更新:2014年1月

  

質問させていただくのは、これが2回目です。右乳がんの乳房温存手術を受け、ステージ2Aで、がんの大きさは12ミリ、リンパ節転移は2個ありました。抗がん剤治療は行わず、放射線治療を25回受け、終了しました。ホルモン剤のフェマーラ(一般名レトロゾール)は自己判断で1度やめましたが、本欄でのご指摘を受け、今は再び服用しています。また現在、介護の仕事をしています。

次の4点についてお聞きします。

(1)フェマーラの服用を再開しましたが、抗がん剤治療も受けたほうがよいでしょうか。手術から4カ月経ちますが、今からではもう遅いでしょうか。

(2)2カ所にリンパ節転移があり、リンパ節郭清を受けましたが、わきの下に違和感があります。私の仕事は力仕事が多く、仕事が終わり、夜になると、わきに物を抱えているような、何ともいえない違和感を覚えます。腕をあげるなどの工夫をしていますが、ほかに何かよい対処法はないでしょうか。

(3)乳がんが再発した場合、何年くらい生きられるでしょうか。

(4)乳がんが再発しなかった場合、何年くらい生きられるでしょうか。

(埼玉県 女性 58歳)

A がんのグレードなど、ほかの要素も考慮して検討

順番にお答えしましょう。

(1)ご相談者がお書きのステージ(病期)、がんの大きさ、リンパ節転移の状況だけで、抗がん剤治療を行ったほうがよいかを判断するのは困難です。

ほかの条件、たとえばホルモンレセプターの強度、がんのグレード(悪性度)、乳がん細胞の増殖能、脈管浸潤の状況なども診る必要があるからです。これらの状態も確認したうえで、総合的に判断して、抗がん剤治療の適応を決定します。

手術後、抗がん剤治療の開始が遅れても、半年以内の遅れならば治療効果が落ちないとする報告が多くあります。ご相談者は手術を受けてから4カ月が過ぎていますが、まだ抗がん剤治療を受けても効果はあると思われます。ただし時間的な余裕はそれほどありません。早めに主治医と相談したほうがよいでしょう。

(2)腕の違和感は肋間上腕神経の損傷が原因のことが多く、もし神経損傷が起きているとすると、残念ながら、違和感を治すことは困難です。しかし、時間の経過とともに症状が和らぐ可能性はあります。自分でできることは、マッサージや腕の体操などをすることで、腕のむくみを予防することです。マッサージはご自分で行ってもよいでしょうし、マッサージの専門店などで受けるのもよいでしょう。マッサージなどをすることで、違和感を多少、緩和させることもできると思われます。

また、感染症に注意することも大切です。そのためにも乳がんが見つかった右腕に、ケガをしないように十分気をつけてください。

(3)乳がんが再発した場合、その後の生存期間は、大まかにいって、2~6年、平均で3年ほどです。肝臓や肺などの重要な臓器に転移した場合は平均で2年ほど、骨単独転移であれば平均5年ほどで10年以上の長期生存もありえます。ただし、ケースバイケースで、個人差がかなり大きいのが現状です。

(4)再発しなかった場合は、乳がんは治癒したと考えられます。となると、一般的な58歳の日本人女性の平均余命を考えるとよいと思います。がん以外のほかの病気があるかどうかで、変わってきますが、一般には20年は期待できるでしょう。

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