再発防止のためのハーセプチン治療に、多少不安を感じている
2008年6月、左胸の右上部に大豆の2分の1ほどのしこりが手に触れました。総合病院外科でエコー、マンモグラフィ、細胞診の検査を受けました。同年9月、再度受診。同年11月に左乳がんといわれました。2009年1月、手術をしました。がんの大きさは2センチ、浸潤性、病期1、悪性度2という結果。術後2週間目に、医師から「がんがまだ残っているので、再手術をしましょう」といわれましたが、あえて放射線治療を希望し、「ライナック」による治療を受けました。放射線治療後のがんの状態の結果は、「とくに検査もしない」と医師にいわれ、疑問に思いました。その後、4月末からハーセプチンによる治療を3週間ごとに受けています。5回目の点滴後、左の乳頭に痛みを感じて、「がんが残っているからでしょうか」と医師に伺いましたら、「残っていない」とのことです。ハーセプチンは1年間を予定しています。再発防止のために、このままハーセプチンが続けられることに、多少不安を感じています。
(島根県 女性 68歳)
A 現時点ではハーセプチン補助投与は1年間行うのが標準
手術後の病理検査の結果がわかりませんが、おそらく、断端が陽性だったので、再手術を提案されたのだと思います。がんが放射線治療でコントロールできる以上の量が残っている可能性があるということです。断端陽性の場合は、一般的には追加切除をして断端を陰性にし、その上で放射線治療をするのが原則です。温存療法では断端陰性の場合でも、がんが残っている可能性があるため、術後に放射線治療を行うのが標準です。
再手術をしたときと比べて、再手術をせずに放射線治療をした場合には、乳房内再発リスクが高くなります。「放射線治療後のがんの状態」を調べるには再手術をして切除標本を顕微鏡で調べるしかありません。再手術が嫌で行わなかった経過から考えると、「とくに検査はしない」方針で妥当と考えます。補助ハーセプチン治療の効果は、抗がん剤投与と併用した場合にのみ証明されています。そのため、ハーセプチン投与は抗がん剤治療と併用して行うのが標準です。リスクが低いと考えられる場合、例外的に抗がん剤を投与せずにホルモン治療と併用して行うこともあります。ハーセプチン単独というのは、不十分な治療の可能性があります。小規模トライアルでハーセプチン9週間投与でも有効であったというデータはありますが、現時点ではハーセプチン補助投与は1年間行うのが標準です。