抗がん剤治療による脱毛が心配。抜けない治療はないか
2008年、乳がんが発見され、乳房の温存手術を受けて、現在、放射線治療を受けています。HER2が陽性だったため、医師から今後、ハーセプチン(一般名トラスツズマブ)とタキソテール(一般名ドセタキセル)による治療を勧められています。副作用として、脱毛があると聞きましたが、どの程度、どれぐらいの期間、抜けるのでしょうか。髪の毛が抜けることは、とても耐えられません。髪の毛が抜けない治療はないのでしょうか。
(東京都 女性 38歳)
A 抗がん剤を受けることを勧める。髪は治療後生えてくる
ハーセプチンとタキソテールによる治療を勧められているということですが、この場合、脱毛が問題になるのはタキソテールです。
タキソテールを行うと、ほぼ100パーセントの人が脱毛します。タキソテールのほかには、アドリアシン(一般名塩酸ドキソルビシン)も同様に、ほぼ全員、ほとんどの方は髪の毛がなくなります。
しかし、いずれの場合も、抗がん剤治療を行っている期間だけで、治療が終われば、また元のように生えてきます。通常は、治療を終えて半年後くらいにはショートヘア程度になり、1年後には、よほどのロングヘアの方でない限り、元通りの長さに戻ります。
髪の毛がない期間は、カツラやバンダナなどを利用するとよいと思います。カツラもバンダナも、いろいろなタイプのものが販売されています。
乳がんに対する抗がん剤治療で、髪の毛があまり抜けない治療もあります。たとえば、エンドキサン(一般名シクロホスファミド)+メソトレキセート(一般名メトトレキサート)+5-FU(一般名フルオロウラシル)の3剤併用療法であるCMF療法では、個人差はありますが、髪の毛が抜ける割合は、髪の毛全体の2~3割ほどです。カツラは不要という方が多数です。
また、経口抗がん剤のUFT(一般名テガフールウラシル)の場合は、ほとんど抜けません。アドリアシンの誘導体であるテラルビシン(一般名ピラルビシン)もアドリア系の薬剤では脱毛が少なくカツラが不要なこともあります。
しかし、CMF療法は治療薬としてはやや古く、今はあまり勧められません。UFT、テラルビシンはデータ不足で欧米で使われることはありません。
髪の毛が抜けている期間は半年ほどであることを考えても、主治医が勧めるタキソテールを受けるのがよいと思います。