乳房温存手術後に受ける放射線治療の被曝が心配
放射線の被曝はがん発生の原因になると聞きます。乳房温存手術後に放射線治療を受ける予定ですが、新たながんができたり、乳がんが再発することはないですか。
(山形県 女性 53歳)
A 放射線治療のメリットのほうがずっと大きい
乳房温存手術後に放射線治療を行うと、放射線をかけた乳房とは反対側の乳がんや肺がんが増加するというデータがあります。
また、特に左側の乳房に放射線をかけて10年ほど経つと、心筋梗塞の発症率が高まります。ただし、これらによって死亡する割合はごくわずかで、約0.1パーセントです。
一方、乳房温存手術後に放射線治療を行うと、再発率が約26パーセントから7パーセントに下がります。乳がんによる死亡率も、約35.9パーセントから30.5パーセントに下がります(その差は5.4パーセント)。
乳がんの死亡率は、放射線治療を行うことで、5.4パーセント下がり、反対側の乳がんなど、副作用での死亡率が0.1パーセント上がります。
ということは、差し引き5.3パーセント、死亡率は下がることになります。
以上のことから、乳房温存手術後には、放射線治療を行うことが必須とされています。