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状況はほぼ同じで、知人と違う治療法だが、問題ないか

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2008年12月
更新:2013年11月

  

45歳の女性です。右の乳房に2.5センチの浸潤性乳管がんが見つかりました。ホルモン受容体は陽性、HER2タンパクは陰性です。乳房温存手術を行った後に、放射線治療とホルモン療法を行うことを勧められていますが、この治療法がベストなのか、不安になっています。私と似たような乳がんの知人(47歳)が、私とはかなり異なる治療を受けたからです。彼女は去年、左の乳房に約3センチの浸潤性乳管がんが見つかりました。私と同じく、ホルモン受容体は陽性、HER2タンパクは陰性です。私とは違う病院で診療してもらったのですが、彼女は先に抗がん剤治療を受けて、その後、乳房温存手術を受けたそうです。ホルモン療法や放射線治療は受けていないといいます。彼女は今、体調がとてもよく、問題はとくに起きていないそうです。私はこのまま乳房温存手術を受け、その後、放射線治療とホルモン療法を受ける方向でよいのでしょうか。

(茨城県 女性 45歳)

A 乳房温存手術後に、放射線とホルモン療法を行うのが標準治療

ご相談者のような乳がんに対する治療法には、知人の方のように、抗がん剤治療を行い、その後、乳房温存手術を行う方法も、選択肢の1つとしてはありえます。しかし、乳房温存手術を行い、その後、ホルモン療法と放射線治療を行うのが、むしろ標準治療といえます。手術前に抗がん剤治療を行うメリットは、がんが縮小することで、乳房温存手術がやりやすくなることです。現状のままで温存療法が可能な場合には、術前に抗がん剤治療を行うメリットはあまりありません。知人の場合には、温存療法が行いにくかった可能性があります。ただ、ホルモン受容体が陽性であるのに、術後ホルモン療法を行わないのは、あまりおすすめできません。

その点、ご相談者は手術後にホルモン療法と放射線治療を勧められています。この治療だと、リンパ節転移の有無などが手術で判明するため、ホルモン療法単独でよいのか、抗がん剤治療も加えたほうが良いのかどうかの判断材料が得られます。ホルモン療法単独でもよいと判断されれば、体への負担も、知人の方が受けた治療より楽だと思います。

かつては抗がん剤治療を手術前に行うと生存率が上がるのではないかと言われましたが、今では、抗がん剤治療は手術の前後どちらに行っても、治療成績は全く変わらないことが証明されています。

以上のことから、今、勧められている治療法を受けるのでよいと思います。

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