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乳がん発見から13年。アロマターゼ阻害剤は効くか

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2008年11月
更新:2013年11月

  

13年前、57歳のときに乳がんが発見され、全摘手術を受けました。がんの大きさは直径9ミリで、リンパ節に転移はなく、石灰化したものが乳房内に広がっていたそうです。ホルモン受容体は陽性だったため、ホルモン剤を飲むことになりました。当初は2年間の服用といわれ、その後、さらに3年間延長になりました。子宮から出血することが何回もあるなど、ホルモン剤の副作用がひどかったため、自分で判断して、服用しないこともありました。服用すべき5年間で、正味2年くらいしか服用しなかったと思います。近年になって、ホルモン療法がどんなに大切な治療かを知り、きちんと受けなかったことを悔やんでいます。再発・転移がとても心配です。手術後13年を経てアロマターゼ阻害剤を服用しても、効かないのでしょうか。既往症は虫垂炎、ぜん息、ごく軽い脳梗塞で、服用中の薬はペルサンチン(一般名ジピリダモール)、リピトール(一般名アトルバスタチンカルシウム)、オメプラール(一般名オメプラゾール)、フルタイド吸入(一般名フルチカゾンプロピオン酸エステル)、閉経年齢は55歳です。

(静岡県 女性 69歳)

A 年齢などを考慮すると、総合的な健康管理が大切

正味2年間服用されたホルモン剤は、おそらくノルバデックス(一般名クエン酸タモキシフェン)だと思います。

仮にノルバデックスだとすると、ノルバデックスには、子宮体がんの発症率を上げるという副作用が見られます。子宮から出血することが何度もあったことなどを考えると、指示された5年間服用しなかったことに関しては、悔やまれる必要はまったくなく、むしろ正しい判断だったと言えるかもしれません。

またホルモン療法は、ホルモン受容体が陽性の患者さんには確かに大切な治療ですが、あくまでも補助的な治療法と位置づけられます。当然、副作用や治療効果などとの兼ね合いがありますから、どの患者さんにも画一的に行うべきものではありません。

今後、アロマターゼ阻害剤を服用すべきかどうかについても悩んでいるようですが、手術後13年を経てからの再発抑制率などのデータは今のところ存在しません。ご相談者の場合は、がんの異型度など、わからない点もあり、一概には言えませんが、リンパ節転移がなく、9ミリと比較的小さながんであったことなどを考えると、今後、アロマターゼ阻害剤などのホルモン剤を服用する必要性は低いと考えます。

69歳という年齢や服用されている薬のことなどを考えると、乳がんの再発ばかりに目を向けずに、もっと総合的な健康管理に気を配ったほうがよいかもしれません。それにはまず、バランスの取れた食事や適度な運動、十分な休息などを心がけることが大切だと思います。

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