センチネルリンパ節生検は十分に信頼できる検査か
乳がんと診断され、センチネルリンパ節生検を受けました。センチネルリンパ節生検の結果、リンパ節転移はなく、ひと安心したのですが、脇の下のリンパ節郭清をした場合に比べて、診断の正確さは少し落ちると、知人から聞きました。また、切除していないリンパ節から転移することも時にはあると、その知人は言います。知人も乳がんで、彼女はそうした説明を私とは別の病院の医師から聞いて、リンパ節郭清を受けたそうです。リンパ節郭清を受けた場合はリンパ浮腫などが心配です。しかし、センチネルリンパ節生検だけで、リンパ節転移がないと思ってもよいのか、こちらも少し心配です。センチネルリンパ節生検は十分に信頼できる検査でしょうか。
(広島県 女性 45歳)
A 見落としもありうるが、今ではほぼ標準治療
センチネルリンパ節生検には、偽陰性が5~10パーセントほどありえます。偽陰性とは、本当はリンパ節転移があるのに、その転移が見つからないことで、いわば見落としです。
この「5~10パーセント」というのは、リンパ節転移のある人の中での割合で、センチネルリンパ節生検を行った人全員の中での割合ではありません。たとえば、100人中20人にリンパ節転移があるとします。この場合、センチネルリンパ節生検では、1~2人(つまり5~10パーセント)ほどに見落としが起こりえます。
見落としがあるのなら、見落としのごく少ないリンパ節郭清をしたほうがよいと思うかもしれませんが、リンパ節郭清を行うと、リンパ浮腫などが起こる割合が高まり、QOLを下げる可能性があります。
また、リンパ節転移がある場合は、ほかの場所にも転移していることが多く、その場合には通常抗がん剤などによる全身療法を行うため、リンパ節郭清を行うメリットは小さいといえます。
そもそも、リンパ節郭清をすることが生存率の向上につながるかどうかは、明確には証明されていません。仮に生存率の向上につながるとしても、その割合は少ないといわれています。
こうしたことから、近年では、センチネルリンパ節生検が標準的な治療になっています。