術前の抗がん剤治療でしこりが消失。手術は必要?
しこりの大きさは約3.5センチで、リンパ節転移はなく、2A期の乳がんと診断されました。しこりが大きいため、先に抗がん剤治療を行い、その後、手術を受ける予定でした。ところが、幸いなことに、抗がん剤治療でしこりは消えてしまいました。しかし、手術は行う予定です。手術は受けたほうがよいのでしょうか。
(岩手県 女性 37歳)
A がんが残っている可能性が高い。手術を
抗がん剤治療により見た目のがんが消えた場合でも、実際には小さくなっただけで、がんが乳腺内に残っていることが多いため、腫瘍のあった部分の乳腺を切除することが必要と考えられています。この場合、リンパ節をあらかじめ検査していなければ、一緒に検査(センチネルリンパ節生検)を行ったほうがよいでしょう。
腫瘍が消えたので、メスを入れたくないというお気持ちは、心情的にはわかりますが、がん治療においては確実性が重要な要素になるため、とくに乳腺を部分的に取るような小さな手術(犠牲が少なく、効果の大きな治療)は受けられたほうが得策だと考えます。
どうしてもメスを入れたくない場合は、乳房のMRI検査などでがんの所見が消失していることを確認し、さらにがんがあった部位のマンモトーム生検を行い、実際に病変が消失していることを確認したうえで、放射線治療に賭けてみるという選択肢があります。ただ、こうした方法は現時点では実験的で、局所再発のリスクが高いと指摘されていることを十分承知しておいてください。