乳がんのステージ1の初期。全摘もありうる?
会社の定期健康診断でたまたまマンモグラフィ検診を受けた結果、「右乳房の乳首の裏に小石灰化が見られます。再検査が必要です」と言われました。そのため、エコー検査と細胞診を受けました。その結果、浸潤性乳がんのステージ1の初期と診断されました。自分でさわってもまったくわかりませんでした。しこりもなく、症状もありませんでした。私は温存手術を希望しています。主治医からは「温存手術を行いますが、状態によっては、そのあとで全摘手術を行うかも知れません」との説明を受けています。私のような場合、全摘手術を受け入れなければいけないこともあるのでしょうか。
(島根県 女性 47歳)
A がん細胞の広がりがポイント
ご相談者のように、自分でさわってもわからないほどしこりが小さくても、顕微鏡的に、乳房のなかのがん細胞が乳房全体に広がっていることもあります。数少ないとはいえ、そうした場合もありますから、温存手術で100パーセント大丈夫とはいいきれません。
ただし、そのようながんは術前の画像検査で、ある程度予測できるため、画像検査でがん細胞が広がっている所見がなければ一般的には温存手術が可能です。
温存手術とはいっても、切除断端(切り口)に乳がん細胞がないように切除する必要があります。ですから、がん細胞がどれだけ広がっているのかどうかがポイントです。乳房全体にがんが広がっている場合には、温存手術が適さないこともあります。
すべては、温存手術をしたあとの病理検査で判断します。病理検査の結果は、手術をして2週間ほどたってからわかります。術中の迅速診断は不確実なこともあり、参考程度にとどめるべきです。
一般的に、断端陽性の場合には、追加手術を行います。2回目の手術でも、断端が広範囲にわたって陽性なら全摘手術を行うことが標準です。
ご相談者に全摘手術が必要かどうか、温存手術をする前の画像診断で、ある程度の予測はできますが、病理検査をしないと正確にはわかりません。全摘手術を行うかどうかは、温存手術後の病理検査の結果次第ということになります。