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肝機能低下でホルモン剤使用を中止。再発を防ぐには?

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2007年7月
更新:2013年11月

  

右乳房に2.5センチの腫瘍が見つかり、2005年5月、乳房温存手術を受けました。リンパ節転移はなく、浸潤性の乳がんとのことです。手術後は、30回の放射線治療とノルバデックスを併用する治療を受けました。放射線治療は何とか予定通り受け続けられましたが、女性ホルモンは数カ月でやめることになりました。副作用によって肝機能が悪くなったからです。ノルバデックス以外の薬は使っていません。しばしば、再発のことが気になります。私のような場合、再発のリスクは高くなるのでしょうか。また、副作用が少なく、有効な再発の防止法があるようなら、そちらをお教えください。

(鳥取県 女性 54歳)

A 再発リスクは変わらない。アロマターゼ阻害剤も選択の1つ

乳がんの再発リスクはどなたでも少なからずありますし、その人の病態によって多少異なります。

臨床試験では、ノルバデックス(一般名タモキシフェン)を服用したグループは、服用しなかったグループに比べて、5年間の相対的な再発率が30~40パーセント減っていました。ご相談者の場合、リンパ節転移がないとのことですから、一般的にはノルバデックスを服用すると、服用しない場合に比べて5年生存率は絶対値で約3パーセント増加します。

ノルバデックスの副作用として、子宮体がん発症の増加や血栓症の増加があります。ご相談者のケースは、副作用が出たために服用を止められたとのことですが、飲まないから再発のリスクが高くなるということでもありません。もともとの再発リスクは変わりません。閉経後であるなら、アロマターゼ阻害剤を試してみてもよいかと思います。最近は、閉経後ホルモン療法の第1選択の薬として使われています。

ノルバデックスを止めて、時間が経過してからアロマターゼ阻害剤を使った場合の有効性についてはデータが少なく、明らかにされていないのですが、今後の治療選択の1つとして、試してみるのもよいと思います。

同様の意味で、抗がん剤治療も選択肢の1つです。こちらの副作用については、実際に治療を受けてからでないとわかりません。

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