乳頭腫。放っておいても大丈夫か
乳首(乳頭)から分泌液が出て、乳房に痛みとしこりを感じ、病院に行って視触診、マンモグラフィ、細胞診を受けたところ、乳頭腫(パピローマ)と診断されました。「良性の腫瘍なので、放っておいてよい」といわれました。本当に、何の治療も受けなくて問題ないのでしょうか。また、がん化することはないのでしょうか。
(石川県 女性 39歳)
A 診断が適切なら、経過観察。マンモトーム生検などの検査もある
乳頭腫という診断が適切であり、乳頭分泌などの症状が続かないのであれば、このまま経過を見てよいと思います。また、一般的には、がん化するとは考えられていなく、その意味でも、とくに切除する必要はありません。
ただ、乳頭腫の診断をマンモグラフィやエコーなどの画像診断と細胞診だけで確定させるのは、意外に難しいものです。乳頭腫の組織像はいわゆる乳頭状病変で、良性の乳頭状病変と悪性度の低い乳がんの乳頭状病変は、病理の専門家でもしばしば意見が割れます。そのため、100パーセント確実な診断をするには、腫瘍を摘出する必要があります。また、それに準ずる方法としては、マンモトームや太めの針で針生検を行い、病理組織学的な診断を行う手法があります。
ただ、現実の医療では、あまり疑わしくないしこりを全部手術で摘出したり、太い針を刺して調べたりすることが正しいともいえず、そのあたりの振り分けは臨床医のセンスの問題になります。現状に不安があるのなら、もう1度担当医と話し合い、そのうえで、針生検かマンモトーム生検(超音波やマンモグラフィで乳房を見ながら、疑わしい部分に針を刺して、組織の一部を吸引し、この組織を顕微鏡で調べる検査)を行うかどうか決めるとよいと思います。
なお、しこりがあることを前提に回答しましたが、もしエコーで明確な腫瘍が見つからないなら、分泌している乳管を造影検査や内視鏡検査で調べることになります。
また、いくら良性でも、乳頭から分泌物が出続ける場合は、日常生活に困るため、腫瘍を摘出する必要が出てきます。その際には、外科手術か、乳管内視鏡を用いた方法で腫瘍を摘出します。後者の場合は、体に傷がつきません。