非浸潤性乳管がん。術後にゾラデックスを投与しているが
非浸潤性乳管がんで全摘手術(2.5センチ大)を受けました。病理検査の結果、ホルモンレセプターのうちのエストロゲンレセプター(ER)は陽性、プロゲステロンレセプター(PgR)は陰性、HER-2タンパク(がん遺伝子)は陽性で、リンパ節転移はありませんでした。術後化学療法は必要ないとのことでしたが、予防的にホルモン剤のゾラデックス(一般名ゴセレリン)を使用しています。最近、患者仲間から私と同じ状況でノルバデックス(一般名タモキシフェン)を併用しているとの話を聞きました。ゾラデックスのみで大丈夫でしょうか。
(大阪府 女性 46歳)
A 標準治療ではなく。もう一度病理検査の内容確認を
非浸潤性乳管がんという診断に間違いはないのでしょうか。非浸潤性乳管がんに対する標準的治療では術後の補助療法は勧められていません。つまり、非浸潤がんの治療でゾラデックスを用いて卵巣機能抑制をするというホルモン療法は通常行われていません。ですから、もう一度、病理検査の内容を確認してみる必要があると思います。
例えば、切除した組織からわずかな浸潤性成分が見つかったというようなケースも考えられます。ただし、浸潤性乳管がんに対してもゾラデックスだけを用いた治療は、標準的な治療ではありません。
一方、ノルバデックスについては、非浸潤性乳管がんの患者さんの再発の予防に効果的という臨床試験(無作為化比較試験)の結果が報告されていて、エビデンス(科学的根拠)があります。患者仲間の方は、そのことを知っていて、あなたに教えてくれたのかもしれません。なお、非浸潤性乳管がんでは、担当医がおっしゃっているように、化学療法の必要はありません。
担当医にご相談して、もう一度、病理検査の内容を確認してください。そして、セカンドオピニオン外来で、術後の治療法などについてご相談することをお勧めします。納得したうえで、治療を受けるようにしてください。