放射線照射による卵巣機能抑制の効果は?
右乳房に4センチ大のがんが見つかり、全摘(リンパ節転移あり)しました。術後に放射線治療とゾラデックス、ノルバデックス(一般名タモキシフェン)の治療を受けていますが、ゾラデックス注射の値段が高く、困っています。このことも含めて、セカンドオピニオンを求めると「あまりお勧めはできないが卵巣に放射線を当てて卵巣機能を断つ方法もある」と教えられました。私は、もう子供を産む気がないので、この治療で同じ効果であれば選択したいと考えています。実際、この治療では副作用や再発率など、効果に違いはあるのでしょうか。
(島根県 女性 40歳)
A 標準的治療です。治療成績は卵巣摘出した場合と同等
卵巣機能を抑制する方法としては(1)手術で卵巣を取る(2)放射線を照射して卵巣機能を断つ(3)ホルモン剤を用いて卵巣機能を一時的に抑制する――という3つの方法があり、3つとも標準的治療です。
(1)(2)では永久に閉経し、卵巣機能は戻ってきません。あなたは「もう子供は産む気がない」とのことですから、(1)(2)とも選択肢に入ると思います。
放射線による卵巣機能照射は、1回4グレイずつ5回照射もしくは1回2グレイずつ10回照射などの方法があります。がんに対して行われている放射線治療よりも照射量は少なく、患者さんへの負担は軽いです。
治療中、下痢を起こすこともありますが、それ以外に副作用はほとんどありません。治療成績は手術をした場合と同じ。治療費は卵巣機能抑制剤を使用するより遥かに安いです。
ですから、「放射線治療はあまりお勧めできない」という意見は正しくないと思います。放射線治療は、卵巣機能抑制剤よりも安く、体にやさしい治療です。