抗がん薬治療中の爪のケアは?
昨年、乳がんの手術を受け、現在は抗がん薬治療を受けていますが、その副作用に悩んでいます。爪が割れやすくなり、爪が浮いて取れてしまいます。爪の症状はどのようにケアしていけばよいのでしょうか。
(鹿児島県 女性 56歳)
A 爪はとにかく清潔に、そして刺激を防ぐこと
抗がん薬治療の爪のお悩みは比較的多く寄せられます。ただ、爪の症状や起こる時期は違っても、ほとんどの方では治療が終わると爪は生えてきますし、症状も改善しますので、治療中は上手に爪の症状と付き合っていきましょう。
爪の症状は、乳がん治療でもよく使われるタキサン系抗がん薬や、抗EGFR阻害薬*という種類の分子標的薬の副作用に多くみられます。ご相談者のように、爪が取れる、浮くといった症状は、タキサン系抗がん薬に多くみられます。
爪の症状で大事なことは、清潔にすること、刺激を防ぎ、感染症を起こさないようにすることです。
たとえば、浮いた爪に対してテープを巻いて固定するのは逆効果になります。爪を圧迫し、膿がたまりやすくなり、感染症を引き起こす可能性があるからです。「爪が取れるかも」と気になるかと思いますが、痛くなければ取ってしまっても構いません。とにかく清潔に保つことを心がけてください。
爪を切るときは、爪の両側を丸く切ると、爪が伸びたときに皮膚に刺さって傷つけてしまい、化膿の原因になることがあります。したがって爪の両端が皮膚に当たらないように、四角く切るようにしましょう。
*抗EGFR阻害薬=がん細胞の増殖・成長に関わるEGF(上皮成長因子)という物質がその受け皿となるEGFR(上皮成長因子受容体)と結合することを防ぎ、がんの増殖を抑えたり、がんの細胞死を誘導する薬剤