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3センチの乳がん。ラジオ波焼灼療法は勧められるか

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2011年4月
更新:2014年1月

  

先日、乳がんと診断されました。がんの大きさは3センチ、リンパ節転移はなく、主治医からは乳房温存手術を行い、その後、放射線治療を行うことを勧められています。ただ、最近インターネットなどで、全く乳房を傷つけず、ラジオ波でがんを焼ききるという、「ラジオ波焼灼療法」という方法があることを知りました。できれば手術を避けたいのですが、これはどういった治療法なのでしょうか。私にも勧められますか?

(千葉県 女性 52歳)

A まだ臨床研究段階。まずは手術を考えて

ラジオ波焼灼療法とは、がんの中に細い針状の電極を差し込んで電流を流し、発生する熱でがんを焼灼する治療法です。ご相談者がおっしゃっているように、手術が不要で、乳房を傷つけずにすむ治療法ですが、いくつかの問題点もあります。

1つは、たとえ画像などでがんの大きさが3センチであっても、実際にはもっと周囲にがん細胞は広がっていること。また、ラジオ波で治療する場合、がん細胞の中心部はほとんど死滅するものの、一部のがん細胞は生き残っている可能性があることです。さらに、手術の場合、切除した組織の断端を顕微鏡で調べて、がんが断端にまで広がっていないことを確認し、切除が不十分な場合、追加切除を行えますが、ラジオ波の場合、顕微鏡で調べる組織は得られないため、その確認ができず、がんを取り残してしまう可能性が高くなります。

がんの大きさが1センチ程度で、MRIなどの検査でがん細胞が周囲に広がっていない限局したタイプのがんであると判断されれば、ある程度のリスクを承知の上で、ラジオ波の治療を受けてみることもあり得るかと思いますが、ご相談者の場合、がんの大きさが3センチということで、ラジオ波を受けるのには大きすぎます。

いずれにしても、乳がんのラジオ波焼灼療法は、現在臨床研究の段階で、長期的な予後についてはまだ明らかになっていません。ですから現時点において、ラジオ波焼灼療法は、通常の治療としてはお勧めできません。

体への負担も少なく、安全性も確立されている通常の乳房温存手術を受けることをお勧めします。

断端=がんの手術で切除した組織の切り口や辺縁

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