運動や食事の再発予防効果は?
乳がんを患って以来、転移・再発が心配で、日常生活を改め、毎日、ジョギングをしています。また食生活でも、肉や飲酒を控え、毎朝、野菜ジュースを摂るように心がけています。このような運動や食事療法は再発・転移の予防効果を期待できるのでしょうか?
(和歌山県 女性 62歳)
A エビデンスは十分ではないが、肥満には注意
統計学的な研究からは、乳がん診断後の過度の体重増加や肥満は再発リスクを増加させ、野菜や果実類の摂取はリスクを減らし、高脂肪摂取はリスクを増やす可能性があると指摘されていました。
野菜、果実、繊維質を多く摂り、高脂肪の食事を減らす食事制限が乳がんの再発・転移に有効かどうか確認するWHEL試験という臨床試験の結果が2007年に発表されています。
この臨床試験では、乳がんの患者さん3000人を、野菜、果実を多く摂り低脂肪食を摂るように食事指導する群と、今まで通りの食生活を行う群との2群にふり分け、8年間の追跡調査を行いましたが、今まで通りの食生活を送った人たちと食生活の改善を図った人たちとのグループの間では、予後に差はほとんど出ないという結果でした。
野菜、果実、繊維質を多く摂り、高脂肪を下げる食事療法は乳がん再発のリスクを下げるというエビデンス(科学的根拠)は充分でなく、大きく推奨されていません。しかし、このような食事が生活習慣病の予防につながることは間違いなく、一般的には勧められます。
また、閉経後に体重が増加した場合は、脂肪細胞から女性ホルモンの分泌が活発になるため、再発のリスクとなると考えられています。太らないように注意しましょう。