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妊娠中に乳がん。出産してもよいか

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2012年6月
更新:2014年1月

  

現在、妊娠20週目ですが、乳がんの2期と診断されてしまいました。私としては、子どもも産みたいと思いますが、今後のことを考えると中絶をしなければならないのかとも考え、葛藤しています。乳がんの治療をしながら、出産する方法はあるのでしょうか? 抗がん剤や放射線の治療による胎児への影響はどうでしょうか?

(神奈川県 女性 32歳)

A 出産の希望は叶えられる

ご相談者のように胎児がお腹のなかにいる方の場合、行える治療法に限りがあるということは事実です。まず、行える治療法として、手術による外科的な切除治療があります。これに関しては妊娠中であっても、胎児や母体に対し大きな影響を与えずに行うことができるとされています。

一方、抗がん剤などの薬物による治療は、エンドキサンなど胎児に対し、明らかな催奇性などの副作用がある薬物以外のものは胎児の器官形成が終了した妊娠の中期以降(15週目位)から使用することはできます。ただし、多くの抗がん剤は使用してみて胎児に影響がなかったという過去の経験に基づくエビデンスであり、将来的な副作用の可能性もないとはいいきれないので、避けられるなら、避けたほうが良いかもしれません。また、化学療法を行う場合、母乳に抗がん剤の影響がでてしまうため、出産後は母乳での育児は控える必要があります。

また、放射線治療に関しては、妊娠中である場合、胎児に対しての被曝の問題があるので、受けることはできません。

妊娠の初期で乳がんの発症がわかった場合は、どうしても、数カ月もの間、手術以外の治療法が行えないため、患者さんのご意向と相談しながら、中絶したほうが良い場合もありますが、今回のように、20週まで育った胎児がお腹にいる患者さんには、出産の希望をなるべく叶えてあげられるような治療を提案できます。

また、少しでも早く、乳がんの治療を行うために、産婦人科の医師とも相談し、少し早めの出産を行い、速やかな治療を行う場合もあります。

エンドキサン=一般名シクロホスファミド

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