3年前、近くの総合病院で右乳房の浸潤性乳がんと診断されました。手術で切除したあと、放射線治療とホルモン療法を受けました。その後、主人の転勤に伴って病院を紹介されて、今の病院に通うようになりました。ところが、最近、再発を告げらました。大きなショックを受けています。骨転移が疑われて、胸水にもがん細胞があるといわれました。ハーセプチン（一般名トラスツズマブ）という分子標的薬を使ったらどうかといわれています。転勤前の病院ではHER2の検査は受けていません。3年前に切除したがん細胞の標本を取りよせて調べてみる方法もあると聞きました。3年前に手術で切除したがん細胞で、陽性かどうか、正確にわかるのでしょうか。それともHER2の検査を新たに受けたほうがよいのでしょうか。

（青森県 女性 40歳）

A　がん細胞の標本があれば調べてもらえる

一般的には、3年前に切除したがん細胞の標本なら、手術を受けられた病院に保存されているはずです。その病院に依頼して、がん細胞の標本を取りよせて、調べてもらってください。

固定標本からでもIHC法（免疫組織化学）という検査法で調べられます。HER2という遺伝子の異常で出てくるたんぱく質を染めて、過剰発現を調べる検査です。

0から3まで、4つの段階があります。3なら過剰発現あり、1と0ならなしです。3ならハーセプチンを使えばその治療効果が期待できます。1と0の場合には、治療効果は得られないため、行いません。2の場合、IHC法以外の別の方法で遺伝子発現を調べなおすことが普通です。

胸水中のがん細胞から新たにHER2検査を調べることも報告されています。切除標本が用意できないような場合には、施行が可能です。

なお、最近は、乳がんを切除したときには、HER2検査は必ず行って調べるようになっています。