再発して肺に転移。ハーセプチンの副作用が心配
4年前に右乳房全摘手術を受けましたが、再発して、肺に転移しました。HER2が陽性のため、ハーセプチン(一般名トラスツズマブ)による治療を勧められています。ハーセプチンの副作用は主に発熱と悪寒で、あまり強くないと言われましたが、一方では、心臓などに重い副作用が出ることもあると聞き、不安です。どんな副作用がどの程度の割合で起こるのでしょうか。また、ハーセプチンによって治る可能性はありますか。副作用のためにハーセプチンの治療を中止した場合の治療法についても教えて下さい。
(島根県 女性 60歳)
A 副作用は従来の抗がん剤に比べて少ない
ハーセプチンの副作用として発熱、悪寒は有名です。しかし、これらの大部分は、初回投与時に一部の患者さんにだけ起こる副作用です。起こった場合の治療も、非ステロイド性の消炎剤を内服するだけで、それほど重大なものではありません。
また、心臓の毒性として心不全が知られていますが、数パーセント以下の発症率で、仮に発症しても、ハーセプチン投与の中止と対症療法によって改善される場合が大部分で、治療を受けるかどうか悩むほどの問題ではないと思います。むしろ抗がん剤などの他の治療法に比較すれば、ハーセプチンは副作用の少ない良い治療法と考えて差し支えないでしょう。
ハーセプチンは単独でも使われますが、抗がん剤などと併用することの多い薬剤ですから、治療法は幾つかあります。しかし、ご質問の内容だけでは、もともとどのようながんのタイプであったか、これまでどんな治療を受けたか、現在どのような病状なのかなどの基本的な情報が不明です。そのため、現在ベストと考えられる治療法や、今後の治療法の選択肢などの問題について、具体的にお答えすることはできません。
ただ、ハーセプチンにせよ、その他の薬剤にせよ、治療法を合理的に考えたいと望まれるのであれば、遠隔転移を伴っている方の治療目的はあくまで一時的な効果であること、はっきり言ってしまうと、完治は望めないという現実を承知しておく必要があります。
そうした限界を理解されたうえで、なるべく副作用の少ない治療法を優先させながら、病気とうまく付き合っていくことが重要だと思います。