手術後に周辺組織に腫瘍の取り残し

回答者・織田克利
東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座生殖腫瘍学准教授
発行:2017年2月
更新:2017年2月

  

子宮体がんⅠ期の疑いで子宮と卵巣の摘出術を開腹手術で受けましたが、リンパ節切除は行いませんでした。病理検査の結果、子宮頸がんの腺がんⅡB期と診断されました。最初の手術の時に子宮体がんとして手術したため、子宮頸部周辺組織に浸潤(しんじゅん)している部分を残した状態で終了しています。

しかし、再手術は不可能とのことで、化学療法および放射線治療になると言われています。腹腔鏡下手術(ふくくうきょうかしゅじゅつ)など他の手法も含めて再手術は不可能なのでしょうか。

(48歳 女性 鹿児島県)

化学放射線療法を勧める

東京大学大学院医学系研究科
産婦人科学講座生殖腫瘍学
准教授の織田克利さん

質問文からは、最終診断は子宮体部に浸潤していた子宮頸部腺がんⅡB期だったと読み取れます。手術は単純子宮全摘出術だったようですが、子宮頸部の周囲の組織を追加切除するのは容易でない場合が多いため、今回のような説明を受けられたのだと思われます。

では、手術後に残存しているがんに対してどう対処するかということですが、子宮頸がんでは多くの場合、放射線治療をベースにした治療法が選択されます。

もし再手術をするとしたら、周囲の組織も含めた広汎子宮全摘出術(こうはんしきゅうぜんてきしゅつじゅつ)を、本体である子宮がすでにない状況で行うことになります。難易度が高く、手術が可能な医療機関が限られるため、治療を受けるまでの期間が長くなってしまうかもしれません。腹腔鏡下手術は保険適用外で、さらに難易度が上がります。しかも、こうしたより難しい手術を行ったとしても、その後に追加で放射線治療や化学療法を行うことは通常避けられません。

治療ガイドラインでは、ⅡB期は、放射線治療と化学療法の同時併用が標準的な治療の1つとされています。一般的には、追加手術ではなく、腔内照射(くうないしょうしゃ)など放射線治療の設備が整った医療機関を見極めて、放射線治療と化学療法を同時に行う化学放射線療法を受けることをお勧めします。

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