円錐切除後にⅠ(I)a1期のがんと判明。経過観察でいいのか
子宮頸がん検診に行ったところ、クラスⅢ(III)bと診断され、組織診の結果もクラスⅢ(III)bで高度異形成と言われ、円錐切除術を受けた結果、病期Ⅰ(I)a1期の子宮頸がんと診断されました。主治医からは、①病期がⅠ(I)a2期からは子宮摘出を勧めていること②未婚であること――という理由から、すぐに子宮摘出はせずに、しばらくは経過観察するという説明を受けました。将来的に子どもを欲しい気持ちもありますが、家族からは「命が大事。子どもはあきらめて子宮を取ったほうがいいのでは」と言われています。このまま経過観察でよいのでしょうか。
(29歳 女性 長野県)
A 経過観察は十分に治療選択肢となりうる
産婦人科学講座生殖腫瘍学
准教授の織田克利さん
円錐切除後に経過観察をしているということなので、病変部の取り残しはなく、再発リスクは低いと判断されたのでしょう。Ⅰ(I)a1期の方で、病変が円錐切除で十分に取り切れていて、今後の妊娠を希望される場合、経過観察をしている人は沢山います。またその場合でも、子宮を摘出した場合と比べて治療成績はほとんど変わりません。
Ⅰ(I)a1期ではリンパ節転移のリスクが低く、若い患者さんが多いため、治療成績が同等であれば妊娠の可能性を残そうという考え方が広く普及してきています。実際にⅠ(I)a1期の若い患者さんの場合、円錐切除のみで経過観察されることのほうが多いです。
一方で、Ⅰ(I)a1期であっても経過観察でよいと言い切れない場合もあります。リンパ節転移のリスクがある、あるいは、病変が残っているかもしれない場合には、標準的な治療として子宮摘出が考慮されます(最近では、リンパ節や子宮頸部はしっかり摘出しつつも子宮体部を温存し、妊娠の可能性を残す手術法も普及しつつあります)。
今回相談された方の病気の状況や年齢を考えると、現時点で「絶対に子宮を取らなければ」と短絡的に決めなくてもよいのではないでしょうか。円錐切除も立派な治療の1つですので、今後しっかりと経過観察で診てもらうのは十分妥当な選択肢です。もし不安であれば、再度主治医に相談されてみてはいかがでしょうか。