ステージⅡ(II)。糖尿病があり、化学療法が不安
ステージⅡ(II)の食道がん。主治医からは手術を勧められましたが、その前に化学療法(*シスプラチン+*5-FU)を行ったほうが、治療効果が高いと言われました。
糖尿病の薬物療法を始めたばかりで、化学療法に不安があるのですが、手術だけでは根治は難しいのでしょうか。また調べたところ経口薬の*TS-1も食道がんに有効なようなのですが、TS-1は使えないのでしょうか。
(66歳 男性 千葉県)
A 術前化学療法が標準治療。併存疾患があれば手術単独も
都立駒込病院食道外科部長の
出江洋介さん
出江洋介さん
ステージⅡ(II)の食道がんでは、シスプラチンと5-FUの組み合わせによる化学療法(FP療法)を2コース行ってから手術を行うのが標準的な治療となっています。
以前は術後に化学療法を行っていましたが、JCOG9907という臨床試験で、術前に化学療法を行ったほうが、5年生存率が約20%高くなるという結果が出ました。それからは術前に化学療法を行うのが一般的になっています。
ただし、ご高齢で全身状態(PS)の悪い方や、腎機能障害、心臓病、糖尿病などの重篤な併存疾患のある方は手術単独となるケースもあります。糖尿病の方は化学療法中に感染症にかかりやすく、手術に不利な状況を招くことが心配されます。ステージⅡ(II)でしたら手術単独でも50%以上の生存率を得られますので、主治医と相談されるとよいでしょう。
TS-1については、確かに食道がんでも有効性は報告されていますが、保険適用ではないため使用することはできません。標準的な治療が行われた後で、使用することはある程度認められています。
*シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ *5-FU=一般名フルオロウラシル *TS-1=一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム