食道がん放射線治療の5年後、胸水は後遺症なのか

回答者・全田貞幹
国立がん研究センター東病院粒子線医学開発分野
発行:2015年4月
更新:2015年7月

  

2009年に食道がんで放射線治療を受けました。その後毎年定期検診を受け、問題なく過ごしていたのですが、昨年(2014年)になって胸水が見つかり、穿刺して抜水しました。もしかしたら放射線治療の後遺症によるものではないかと思ったのですが、その可能性はありますか。今後、どのような治療法があるのか教えてください。

(66歳 男性 埼玉県)

治療から5年後の胸水は稀。胸水細胞診が必要

国立がん研究センター東病院の
全田貞幹さん

放射線が肺に照射されて肺の組織が傷つき、炎症を起こすことを「放射線性肺臓炎」と言います。食道がんに対する放射線治療は50~60Gy(グレイ)で行われたと思いますが、食道は肺や心臓に隣接しているので、どうしても肺に放射線が当たってしまいます。しっかりとした治療計画で行われた場合でも3~6%に放射線性肺臓炎が起こると言われています。放射線性肺臓炎は治療が終了してから6カ月~1年程度で発生することが多く、重症になると命に関わることがあります。

ご相談者の方のように、治療終了後5年が経過して発生することはごく稀です。このような場合、「がんの再発」もしくは「新しいがん」を鑑別するために、胸水の中にがん細胞があるかどうかを調べる必要があります(胸水細胞診)。仮にがんでなかったとした場合、放射線性肺臓炎ということになりますが、残念ながら根本的な治療法はありません。経過を見ながら、症状を改善させる対策をとります。

放射線治療の後、重篤な後遺症が起こらないようにするには次の3つの予防策があります。

❶治療計画のとき、肺にかかる放射線の量をしっかりチェックする

❷喫煙など肺によくない生活習慣を改める

❸定期的にCT検査を受け、咳嗽、発熱など肺炎を疑う症状があれば速やかに受診する

このうち❷と❸については患者さん自身ができることですので、これから受ける方は気をつけていただければと思います。

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