Ⅱ期の食道がん。放射線化学療法は有効か

回答者・出江洋介
都立駒込病院食道外科部長
発行:2015年5月
更新:2015年8月

  

食べ物が飲み込みづらく、病院で検査を受けたところ、Ⅱ期の食道がんと判明し、医師から術前化学療法を勧められています。ネット検索では私のような場合、シスプラチンと5-FUの2剤併用か、タキソテールを加えた3剤併用があるようですが、どちらを選択したほうがよいのでしょうか。また、できれば食道を残したいのですが、化学療法と放射線治療を組み合わせる方法は有効でしょうか。

(65歳 男性 神奈川県)

化学放射線療法の成績は術前化学療法より低い

都立駒込病院食道外科部長の
出江洋介さん

Ⅱ期の食道がんに対する治療は、シスプラチンと5-FUの組み合わせによる化学療法を2コース行ってから手術をするのが標準的な治療になっています。この治療法による5年生存率はステージⅡ/Ⅲで55%となっており、術後の化学療法を行った場合の43%よりもよい成績になっています。しかし、まだ十分満足できる結果とは言えず、さらに強い化学療法による術前化学療法が必要と考えられています。そのためシスプラチン、5-FU、タキソテール3剤併用の術前化学療法について、現在臨床試験が行われており、どちらが有効かはまだわかりません。

ご相談者の方が望んでいる化学放射線療法も選択肢の1つです。この場合はシスプラチンと5-FUの化学療法と放射線治療法60グレイ(Gy)照射(最近は副作用を考慮して50.4Gyの場合もある)を行います。この治療法を選択した場合、ステージⅡ/Ⅲで5年生存率が37%という結果が出ています。ただし、このうち10数%は手術を追加しています。ですから実際に食道を温存できた方は20%台なります。

シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ 5-FU=一般名フルオロウラシル タキソテール=一般名ドセタキセル

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