手術後体重が6kg減。食道狭窄ではないか
70歳の父がⅡ期の食道がんで手術を受けました。食道を再建したのですが、手術後2カ月が過ぎても思うように食事がとれず、飲み込んでもつかえたり、逆流したりしています。体重も6kg減りました。もしかしたら食道狭窄ではないかと心配です。
(45歳 女性 千葉県)
A 内視鏡検査で食道狭窄であれば拡張術を
都立駒込病院食道外科部長の
出江洋介さん
出江洋介さん
食道がんの術後、ある程度食べられるようになるには、個人差もありますが時間がかかります。もたれ感やダンピング症状などで食事が十分とれず、1年間で体重が10kgほど低下することはよく見られることです。ですから体重の減少についてはそう心配する必要はありません。
食道がんの手術では、食道を切除したあと、頸部に残った食道と吊り上げた胃を吻合します。この吻合部は親指ほどの太さですがあまり伸び縮みしません。そのため肉などの塊がつかえることがあります。食事は柔らかい物を選び、よく噛んで、口の中で十分細かくしてから飲み込むように心がけることが重要です。また3食だけでなく、こまめに食べることも大切です。少し行儀は悪いですが、小さなおにぎりや栄養補助食品などを歩きながら食べると、重力の影響や歩く振動で詰まりにくく、食べやすかったと教えてくれた患者さんがいました。
食道狭窄がご心配でしたら内視鏡検査を受けられるとよいでしょう。食道狭窄は縫合不全などが原因で吻合部の血流が悪い方に起こる可能性があります。狭窄が起きていた場合は、内視鏡の鉗子口からバルーン(風船)を挿入して内腔を拡張します。1回で内腔が拡がる方もいますが、中には何回か拡張術が必要になる方もいます。