耳下腺がん 術後の顔面麻痺が心配
耳の下あたりが腫れて痛みがあり、病院を受診、耳下腺がんと診断されました。細胞診を行った結果、腺がんであると診断されました。
今後は手術を行うということですが、心配な点がいくつかあります。まず手術についてなのですが、術後に麻痺が残ると聞き、とても不安です。
麻痺が残った場合、どのような症状が起こるのでしょうか。
また、麻痺を改善するような方法はあるのでしょうか。
最後に、手術が基本の治療だとお聞きしましたが、放射線治療や陽子線・重粒子線治療などは行えないのでしょうか。
(48歳 女性 山梨県)
A 腫瘍進行度による。顔面神経切除時は神経移植で再建
耳下腺腫瘍の腺がんということですが、まず、治療については、手術が基本の治療になります。
再発腫瘍や非常に進んでいて手術では取り切れない場合は、放射線治療や他の治療法が適応となります。
ご相談者がおたずねの陽子線、重粒子線治療についてですが、重粒子線治療などでは一定の効果も出ているようですが、耳下腺がん治療の第一選択にはなっていません。
耳下腺がんの手術は、その腫瘍の大きさによって術式を選択することになります。
進行している場合には顔面神経を切除しなければならないことがあり、そうした場合には同時に神経移植を行うことで顔面神経の再建を行います。
神経移植には、下腿を走る末梢神経である腓腹神経が多く用いられます。顔面神経麻痺では、口角が下がったり、小鼻の皺がはっきりせずに鈍くなったりするほか、目が閉じにくい、ドライアイなどが起こります。こういった顔面神経麻痺の症状は神経再建の後、時間が経って症状が緩和されます。
顔面神経の再建術は、形成外科がある施設なら受けることができます。
また、耳鼻科でも行っているところもあります。大学病院クラスの施設であれば、治療を受けることができると思います。