手術と放射線治療、どちらがいい? 

回答者:林 隆一
国立がん研究センター東病院 頭頸部腫瘍科形成外科科長
発行:2013年2月
更新:2013年11月

  

飲み込むときに痛みがあり、病院で検査してもらったところ、中咽頭の側壁の扁桃腺に初期(Ⅱ期)のがんと診断されました。治療法としては、放射線の外照射を提案されていますが、私は手術で全部とってしまいたいと思っています。その考え方は間違っているでしょうか。それぞれの治療法のメリットとデメリットを教えてください。

(千葉県 男性 66歳)

A 初期であれば手術を考慮

中咽頭にできるがんにはいくつかの種類があります。そのなかで一番多いのが中咽頭の側壁の部分にできる扁桃がんです。

ここにできる腫瘍は放射線の感受性が高い場合が多く、Ⅱ期であるのなら、放射線治療でも十分に完治を目指すことができると思います。

また最近の研究では、子宮頸がんの原因として知られているHPV(ヒトパピローマウイルス)が頭頸部がんの発症原因の1つであることがわかってきました。このウイルスが原因である場合は、非常に放射線が効きやすい特徴があることもわかっています。

ただし、ご相談者のように初期のがんであれば、摘出手術を考慮しても良いと思います。

理由としては、放射線治療を行った後の唾液の分泌障害の問題があるからです。それに、放射線治療は原則として、同じ部位に関しては1度しか行うことができません。

中咽頭がんの患者さんは残念ながら統計的にみて、食道がんや他の頭頸部がんを併発する多重がん(同じ人に別のがんができること)発生の危険性が高く、放射線治療を後に取っておくのも良いかと思います。

早期のがんであれば外科治療でも嚥下機能などに障害が残ることはほとんどありません。

ですから、術後の障害がでないような初期のがんであるなら、手術を行い、がんを摘出する治療を優先して行っても良いと思います。

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